一般社団法人 日本電子機器補修協会
東芝は14日、連結子会社の東芝ITサービス(川崎市)で発覚した架空取引に関する社内調査報告書を公表した。書類上の取引のみで売り上げを計上する「循環取引」は計26件、売上高で435億円に上った。東芝は2015年の巨額の不正会計問題で経営危機に陥った経緯があり、東証1部への早期復帰を目指す中、信頼を再び揺るがしかねない事態だ。
弁護士や公認会計士らを交えた調査結果などによると、15年11月から19年7月までの間、東芝ITを含む9社が関与し、パソコンなどIT機器販売に絡み実態のない取引を繰り返していた。
取引には東証1部上場のシステム開発会社ネットワンシステムズと、日本製鉄子会社の日鉄ソリューションズなどの関与が既に判明。循環取引はネットワン社元営業マネジャーが主導し、求めに応じ東芝IT社員も書類作成などに手を貸していたが、調査報告書は「東芝ITの役職員が架空取引と認識していた証拠は見つからなかった」と結論付けた。
東芝は2000億円超もの利益をかさ上げした不正会計を受け、ガバナンス強化に取り組んできたが、会見した豊原正恭執行役専務は、今回の架空取引について「外部から情報が寄せられるまで判明しなかったことを深く受け止めている」と語った。取引に不正がないかを分析・検知できるシステム導入などを通じて再発防止を徹底する考えを示した。
東芝は不正会計に続く米原発事業での巨額損失の処理から17年3月期に債務超過に転落。東証1部から2部に降格されたものの、上場廃止の危機を脱し、早期の1部復帰を目指している。新たな不適切会計は昇格審査に響きかねないが、豊原氏は「準備が整い次第、申請したい」と話すにとどめた。
【時事通信社】
〔写真説明〕子会社で発覚した架空取引を陳謝する東芝の豊原正恭執行役専務(中央)ら=14日午後、東京都港区
2020年02月14日 19時37分
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