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日本式ごみ分別、根付く=被災地交流きっかけ―インドネシアで先進例・震災10年



【バンダアチェ(スマトラ島北部)時事】インドネシア・アチェ州の州都バンダアチェ市で、日本式のごみ分別が根付きつつある。きっかけは東日本大震災後、宮城県東松島市と始めた交流だ。「分別が収入になる」仕組みを整え、定着に成功。ごみ問題が深刻なインドネシアで先進的な取り組みとなっている。

2004年の津波で7万8000人超が犠牲になったバンダアチェ市内の海沿いに位置するアル・デア・トゥンゴ村。毎週月曜、市環境衛生局の職員が「ごみ集積所」を巡回する。

ペットボトル、アルミ缶、ガラス…。計7種類に分けて保管され、新聞・古紙はひもで縛られている。職員は順番に重さを量って読み上げ、それを別の職員と集積所のリーダーが記録する。

集積所は15年に導入された。大津波で被災した両市の交流事業「コミュプロジェクト」が13年に始動。事業の初期に東松島に1年間滞在したバンダアチェ市職員が持ち帰ったアイデアの一つだ。東松島は震災ごみを手作業で選別し、リサイクル精度向上と雇用創出に成功していた。

だが、ポイ捨ての多いインドネシアでは「意識を変えるのに苦労した」(市環境衛生局幹部)。戸別訪問や集会を重ねて意義を説き、東松島の「家庭ごみ分別表」をまねて図解入りの分別表を作成。集積所を20~25世帯に1カ所ずつ設け、「各家庭の近くにある」状態にした。18年からは収集前日に一斉メールを送っている。

加えて、買い取り制度が「大きな動機付けになった」(アズリ村長)。市は6種類の資源ごみを量に応じて買い取り、代金は住民間で分配される。「分別すれば金銭面でも得する」仕組みだ。各集積所リーダーは別途、報奨金も受け取れる。

15年に2カ所だった集積所は20年に31カ所へ増えた。「市内800カ所で導入」の目標までは道半ばだが、人口が増え続ける中でも、ごみの最終処分量は18年で頭打ちになった。

一方、環境・林業省の推計によると、全国のごみは毎年1%、約70万トンずつ増加。国は05年から「ごみ減量・再利用・再生」を掲げるが、「掛け声倒れとなっている」(地元紙)。

「水筒と弁当箱を持ってきていますか」。バンダアチェ市のMIN1小学校で先月23日、集積所リーダーのヌフスさん(43)が呼び掛けると、児童が一斉にかばんから取り出して見せた。市が学校や飲食店、会社で行う出前授業の一コマだ。同校は、ごみを出さないよう使い捨て容器の使用を禁じ、「児童ごみパトロール隊」もつくった。

ヌフスさんは16年に訪れた東松島の最終処分場で「分別が徹底され、『ごみ』がほとんどない」ことに感銘を受けた。「そこまで達するのに数十年かかったと聞いた。意識を変えるのはとても難しいが、私たちもゆっくりと、でも着実にできると信じている」。そう語るヌフスさんの出前授業は、19年から今までに80校を超えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕インドネシア・アチェ州バンダアチェ市のごみ集積所で資源ごみを計量する市職員=2月22日 〔写真説明〕インドネシア・アチェ州バンダアチェ市のごみ集積所で資源ごみを収集する市職員=2月22日 〔写真説明〕インドネシア・アチェ州バンダアチェ市の小学校で、ごみ分別について教えるヌフスさん(右)=2月23日

2021年03月03日 18時07分


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