一般社団法人 日本電子機器補修協会
2016年の熊本地震は14日で、前震の発生から5年となる。2日後に本震が襲ったこの地震では、政府が自治体からの要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」が初めて実践されたが、受ける側の自治体が物資の輸送状況を把握できない課題が指摘された。これを踏まえ、内閣府は関係省庁や都道府県、市町村と情報を共有するシステムを構築。それでも慣れない自治体担当者が操作に戸惑うケースがあり、どう浸透させるかが課題となっている。
プッシュ型支援は東日本大震災の教訓を踏まえ制度化されたが、熊本地震では当初、支援物資の種類や数量、到着日時が市町村に伝わらなかった。内閣府の有識者会議は検証で「避難所で物資の管理や仕分けが混乱した」と指摘。全ての関係機関が物資の輸送状況を把握できるシステムをつくるよう求めた。
これを受けて内閣府は全自治体を網羅するシステムを構築し、20年度から運用を開始。内閣府が物資の発送先や品目、個数を入力し、自治体担当者らがインターネット上で確認する仕組みだ。それまではメールや電話でやりとりしており、システム化で情報共有が「明らかに速くなった」(内閣府幹部)。
このシステムは、九州地方などを襲った20年の7月豪雨で初めて使われたが、自治体職員が使いこなせず、国の応援職員が操作を肩代わりするケースもあった。
そこで内閣府は今年3月中旬、南海トラフ巨大地震で被災が想定される29都府県約700市区町村と共同で運用訓練を実施。しかし、約2割の自治体は「マニュアルを見たが操作があまり理解できなかった」「災害の経験がなくイメージが湧かなかった」など十分に対応できなかった。
内閣府はこうした結果も踏まえ、システムをより使いやすく改修する方針。熊本地震から始まった新たな制度を最大限生かすため、担当者は「今後も訓練をしていく必要がある」と話した。
【時事通信社】
〔写真説明〕雨が降る中、運ばれる支援物資=2016年4月21日、熊本県南阿蘇村
2021年04月10日 05時19分
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