一般社団法人 日本電子機器補修協会
「また苦しまないといけないのか」。福島県新地町の漁師小野春雄さん(69)は、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出に表情を曇らせる。本格操業を目指し風評被害と闘ってきたが、「10年間が水の泡。今までの努力は何だったのか」と肩を落とす。
初めて漁に出たのは15歳の時。東日本大震災が起きるまでは週6日の漁で、カレイやシラウオ、スズキなど四季折々の魚が取れた。「おいしさは全国一。魚の宝庫」と胸を張る。
生活を支えた海だが、震災では身内の命も奪った。小野さんは津波から船や漁具を守ろうと沖に向かったものの、弟が乗った別の船はエンジントラブルが発生。「もうだめだ」との無線を最後に連絡は途絶え、その後死亡が確認された。
再び船に乗ったのは3カ月後。2012年6月からは曜日や漁法を決め、取れた魚の放射線量を調べる試験操業が始まった。出荷制限は次第に緩和されたが、魚の値段は震災前と比べ2~3割下落したままだ。
小野さんは今年3月、福島の魚の安全性を発信しようと東京五輪の聖火ランナーも務めた。4月から本格操業に向けた移行期間になることが決まり、「10年間我慢してやっとこぎ着けた」と喜んだ直後、海洋放出の方針が決まった。
「流すなと言っているわけではない。お互いが納得してからだ」。風評被害に対する補償もはっきりしないまま、海洋放出の結論が先行する状況に不信感を募らせる。「津波から助かった自分が福島のきれいな海を守らなければ」と亡き弟に誓う。
【時事通信社】
〔写真説明〕シラウオ漁で使う網の手入れをする小野春雄さん=10日、福島県新地町
2021年04月13日 05時33分
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