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「敵の子」愛した養父母=日中つなぐ支援団体―黒竜江省・国交正常化50周年



【北京時事】1945年の敗戦前後の混乱期、旧満州(現中国東北部)には多くの日本人孤児が置き去りにされ、中国人養父母らが引き取った。72年の日中国交正常化後、肉親が判明した残留孤児らは続々と日本へ帰国。黒竜江省ハルビン市の「日本残留孤児養父母連絡会」は、残された養父母らの生活支援などを行ってきた。

◇あなたの故郷

残留孤児だった妻(77)と東京都江戸川区へ移住し、3年ぶりにハルビンへ里帰りした同会事務局長の石金楷さん(64)は、多数の養父母から孤児を引き取った経緯を聞いている。養父母の一人は「中国人を痛めつけたのは大人、軍隊だ。子供に罪はない」と話した。石さんは「養父母は真の中日友好を請け負った。このことを多くの人に知ってほしい」と訴える。

石さんの今は亡き両親も、やはり残留孤児だった義兄(故人)の養父母だ。46年春、当時子供がいなかった石さんの両親は、日本人から紹介された身寄りのない義兄を引き取った。避難所で病床に伏せていた幼児を見捨てられなかったという。義兄は「福が来た」と歓迎され、幼名を「来福」と名付けられた。家庭は貧しく、義兄が病気になると母は婚礼衣装を売った金で診療を受けさせた。

石さんの家の近所は残留孤児を引き取った家庭が多く、肉親捜しが本格化すると帰国組から「日本は発展している」といった情報が入った。「小日本鬼子(日本人の蔑称)」と呼ばれて成人まで育ち、日本を祖国だと自覚していた義兄も実父を探し当てた。母は、帰国をためらう義兄の背中を押した。「子供の前途のため帰国に賛成する。嫌ならいつでも戻っておいで。中国の母はいつでも歓迎するよ。中国はあなたの故郷なんだから」

◇恩義を忘れない

同会の胡暁慧名誉会長(78)は、医師としてハルビン市赤十字会に属し、84年に連絡会の前身組織を設けた。孤児が帰国した後の養父母の「心の欠落感」を知ったのがきっかけだ。胡さんは、孤児を成人まで育てた養父母たちが「敵の子にそうできたのは、国境を超えた愛だ」と語る。

会のメンバーは養父母宅を頻繁に訪れて困り事の相談に乗り、病気なら病院へ連れて行った。帰国した元孤児と養父母の間で当時珍しかった国際電話をつなぐのを手伝ったこともある。身元が判明しない孤児や養父母を含め、連絡会に改組した90年の会員は240人となり、胡さんは「会がみんなの家になった」と振り返る。

長野県阿智村にある満蒙開拓平和記念館の寺沢秀文館長は、2013年の開館直後から胡さんらと交流。平和学習で来館する小中高校生らには必ず「中国人養父母のおかげで日本人の命が救われた」と語り継ぐ。寺沢さんは「連絡会の活動は日本が本来やるべきこと。われわれは養父母への恩義を忘れてはならない」と指摘した。

【時事通信社】 〔写真説明〕18日、中国黒竜江省ハルビン市で取材に応じる石金楷さん 〔写真説明〕17日、中国黒竜江省ハルビン市の自宅で日本人残留孤児の関連資料を示す胡暁慧さん

2022年09月25日 14時31分


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