機能性表示食品、見直しへ議論=安全性や被害報告が焦点―「紅麹」問題受け消費者庁



小林製薬が機能性表示食品として販売した「紅麹(べにこうじ)」配合サプリメントによる健康被害の広がりを受け、機能性表示食品制度の在り方を見直す議論が進められている。安全性の確保や、健康被害の報告基準の明確化が焦点。消費者庁の有識者検討会は5月末までに見直し案を取りまとめる。

機能性表示食品は国の審査がなく、消費者庁への届け出のみで食品の有効性を表示できる。このため安全性の担保が企業任せになっているとの指摘が以前から出ていた。制度のガイドラインは健康被害の速やかな報告を求めているが、小林製薬以外に報告例はない。今回のケースでも、把握から公表まで約2カ月かかったことが問題視された。

今月19日の初会合では医薬品にも適用される製造、品質管理の基準「GMP」が論点となり、「GMPで管理していれば異物の混入を把握できたのではないか」と高い安全基準を求める意見が出た。メンバーからは「(健康被害を)何日以内に報告するという基準がない」とガイドラインのあいまいさを指摘する声も。サプリメントは異物が濃縮される危険性があり、「他の食品と分けるべきだ」という提案もあった。

ただ、一般的な健康食品ではそもそも行政側が健康被害を把握できないため、「安全基準を厳しくして事業者が無規制に流れれば本末転倒」と規制強化をためらう声もある。

検討会は事業者や消費者の団体からも意見を聞いた。事業者側からは「国が具体的な管理の基準を示してほしい」とGMPを含めた管理強化に積極的な意見の一方、「届け出制は維持してほしい」との要望が出た。

消費者側には制度が導入された2015年当初から安全性を疑問視していた団体もあり、「国のチェックが入る制度にしてほしい。法律で位置付けるべきだ」と制度の抜本的な見直しを求めた。次回会合は5月8日で、今後さらに関係する団体からヒアリングを重ね、見直しに向けた意見をまとめる。

【時事通信社】

2024年04月30日 13時25分

society


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース