ウクライナ侵攻が重荷=新味欠くプーチン政権5期目



ロシアのプーチン大統領が7日、6年間の新たな任期をスタートさせた。2000年に47歳で権力の座に就いてから時は流れ、プーチン氏は現在71歳。後継体制をにらんだ政権人事に注目する向きもあるが、5期目の就任式は国民にとって新味に欠ける。ウクライナ侵攻が重荷となり、高揚感に乏しいのが実情だ。

プーチン氏の続投は、これまでの任期をリセットして多選制限を骨抜きにした20年の憲法改正でほぼ決まっていた。積年の西側諸国との摩擦は22年の侵攻開始でさらに悪化し、ロシアは現体制でまとまるしか選択肢がなくなっている。

3月の大統領選で圧勝後、プーチン氏は中国や北朝鮮などの指導部に祝福を受けたが、西側諸国ではロシアに融和的なハンガリーのオルバン首相ぐらいだ。国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状は首脳外交の足かせとなり、政治決断が物を言う停戦交渉の道筋も立たないままだ。

政権は国内引き締めを強化し、リベラル派の政治家やメディアを弾圧。反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏を2月に獄死に追い込んだ。12年の3期目、18年の4期目就任式の際に展開されたような抗議デモは皆無。ナワリヌイ氏の団体は、黒海沿岸にあるという「プーチン宮殿」の未公開写真を紹介するので精いっぱいだ。

国営テレビが事前に伝えた唯一の「サプライズ」は、プーチン氏の大統領専用車。西側諸国と対立する中で開発され、国産リムジンと宣伝される「アウルス・セナート」が、就任式に合わせてモデルチェンジされた。ただ、国民が嫌う侵攻長期化に終止符を打ったり、高インフレに歯止めをかけたりする取り組みとは無関係で、新鮮味のなさを浮き彫りにした。

【時事通信社】 〔写真説明〕6日、モスクワで開かれた政権幹部との会合に出席したロシアのプーチン大統領(EPA時事)

2024年05月08日 12時47分


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