宙に浮く「2万円給付」=自民総裁候補に反対論



自民、公明両党が7月の参院選で掲げた2万~4万円の現金給付が宙に浮いている。大敗して衆参共に少数与党となり、自民総裁選の候補から反対論や見直し論が続出。立憲民主党など消費税減税を軒並み掲げた野党の賛同を得るのも容易ではなく、実際に支給されるか不透明な情勢だ。

「給付は国民の信任を得られなかった」。茂木敏充前幹事長は10日の出馬記者会見でこう強調。小林鷹之元経済安全保障担当相は8日の日本テレビ番組で、「選挙結果を受けて慎重に対応すべきだ。やるべきではない」と述べた。

給付は野党の消費税減税に対抗するため、自公の公約に盛り込まれた。「バラマキ」と批判されて一度は見送りながら、参院自民と公明党の強い要求で復活した経緯がある。党内では「国民の支持は得られなかった」(党幹部)と急速に機運がしぼんでいる。

総裁選に名乗りを上げた5人でも、これまでに給付実現を求める意見は出ていない。物価高対策は総裁選でも論点となる見通しで、茂木氏は「地方自治体が課題とニーズに応じ自由に使える数兆円規模の生活支援特別地方交付金」創設を主張。小林氏は現役世代を対象に、期限を区切った所得税の定率減税を提起した。

林芳正官房長官は政権の「継続性」を掲げるが、16日のBSフジ番組では「与野党で合意できるところを探す」と見直しに含みを持たせた。高市早苗前経済安保相の周辺は「見直しも必要になる」と語った。小泉進次郎農林水産相は週内に会見する見通しだ。

給付を実現するとしても衆参両院で過半数を失っているため、野党の賛同が欠かせない。だが、立民の野田佳彦代表は「どの政党も反対するだろう」と突き放した。

一方、公明の斉藤鉄夫代表は16日のBS―TBS番組で「給付を実現すべきだと自民に強く言っているが、正直、反応は非常に悪い」と述べ、協議も進まない現状にいらだちをあらわにした。自民幹部は「頼まれたら議論せざるを得ない」と語るが、公明内からさえ「実現は厳しい。公約なので『絶対にやる』と言い続けるしかない」との声が漏れる。

【時事通信社】 〔写真説明〕視察先の認定こども園で職員と話す自民党の茂木敏充前幹事長(右から2人目)=17日、東京都中央区 〔写真説明〕記者会見する林芳正官房長官=17日午前、首相官邸

2025年09月18日 07時27分


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