維新、自民に急接近=連立傾斜の見方、党内外に波紋



自民党総裁選で野党との連携が争点の一つに浮上する中、日本維新の会が自民との協力をいとわない姿勢を鮮明にしている。国民民主党などの後塵(こうじん)を拝した7月の参院選を踏まえ、存在感を高めて巻き返しを図る狙いがあるようだ。ただ、その姿勢は自民、公明両党の連立政権入りに傾斜しているようにも映り、党内外に波紋が広がる。

「選択肢としてはあり得る」。維新の藤田文武共同代表は16日のテレビ番組で、自公連立に参加する可能性を問われ、こう踏み込んだ。17日の党会合では「報道関係者にあおられている」と説明したが、憲法改正などで合意できるかが連立判断の要素になるかと記者会見で問われると、「当然なる」と語り、連立の可能性を否定しなかった。

維新は8月の新執行部発足以降、自民への接近ぶりが顕著だ。吉村洋文代表(大阪府知事)は同月下旬、大阪・関西万博を視察した小泉進次郎農林水産相に会場内を案内。17日には石破茂首相(自民総裁)とも万博会場で会談した。

際立つのが総裁選「候補」との関係づくりだ。吉村、小泉両氏の「共同視察」に続き、9日には馬場伸幸前代表が林芳正官房長官と会食。藤田氏は総裁選出馬の意向を固めた5人に対談動画の撮影を打診し、茂木敏充前幹事長とは12日に済ませた。動画の公開はこれからだが、関係者によると、撮影では「連立」も話題に上ったという。

維新の狙いについて党関係者は「連立入りをほのめかして党勢回復を目指している」と指摘し、連立を排除しない発言はポーズにすぎないと解説する。しかし、国民民主が与党と距離を取る中、自民にとっても維新は連立枠組み拡大の第1の選択肢。維新内には「副首都」構想への協力などを条件に連立入りに賛成する声も根強く残る。

一方、他党には反発が広がる。維新が連立入りすれば政策実現の「てこ」を失いかねない国民民主は「維新は連立まっしぐらだ」(玉木雄一郎代表)と批判。先の衆院選で大阪で維新に全敗した公明は「連立には政策や理念が一致することが当然必要だ」(西田実仁幹事長)とけん制する。

維新内にも強い異論があり、斉木武志衆院議員ら3人は「安易に連立入りすべきではない」などとして離党届を提出した。維新は17日、規律を乱したとして3人を除名したが、3人以外にも「もし連立入りするなら離党を検討する」(若手)との声が漏れ、維新執行部の今後のかじ取り次第では党の分裂につながりかねない危うさをはらむ。

【時事通信社】 〔写真説明〕大阪・関西万博会場での面会冒頭、握手する石破茂首相(左)と大阪府の吉村洋文知事=17日午後、大阪市此花区

2025年09月18日 07時03分


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