高市外交、好発進も懸案山積=防衛費・対中国、問われる手腕



【慶州(韓国)時事】高市早苗首相は就任直後に臨んだ一連の「外交週間」を終えた。米国、韓国、中国との初の首脳会談をこなし、政権内には「うまくいった」と安堵(あんど)の声が広がる。ただ、中国との関係安定化など懸案は山積したまま。各首脳との信頼醸成や地域の安定に向け、外交手腕が問われるのはこれからだ。

「日本外交を取り戻すための歩みを力強く、着実にスタートした」。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の日程を終えた首相は1日、韓国・慶州で内外記者会見を行い、手応えを語った。

10月26日開幕の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するため、マレーシア入りしたのは首相就任5日目だった。会議では、影響力を増す中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の進化を訴えた。

28日には来日したトランプ米大統領との初の対面会談に臨み、自主的な防衛力強化への決意を伝えた。大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に同乗して原子力空母「ジョージ・ワシントン」に着艦。米兵らを前に拳を突き上げて飛び跳ね、強固な日米同盟をアピールした。

APECに合わせ、韓国の李在明大統領、中国の習近平国家主席との会談も実現した。李氏とは「未来志向」を確認。習氏とは「戦略的互恵関係」の推進で一致した。首相は米韓首脳に笑顔を振りまいたのとは対照的に、習氏との会談では終始硬い表情を崩さなかった。東シナ海などでの中国の威圧的行動、邦人拘束、レアアース(希土類)輸出規制など日中間の懸案に「懸念」を伝えた。

APEC参加21カ国・地域全ての代表に「新入り」としてあいさつを交わした。首相が唱える「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」へ順調な滑り出しとなった。

しかし、高市外交は始まったばかり。トランプ氏との信頼関係構築に一定程度成功したと自負するものの、日本への防衛費増額の圧力について「金輪際言ってこない、ということではない」(外務省幹部)と警戒を続ける。

日中関係の懸案も進展は見通せない。日本政府関係者は「両首脳が率直に言いたいことを言い合った。本番はこれからだ」と説明。首相と距離を置く閣僚経験者は「中国側は首相の手腕を慎重に見極めるだろう」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を終え、内外記者会見する高市早苗首相=1日午後、韓国・慶州 〔写真説明〕アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席した高市早苗首相=1日、韓国・慶州(内閣広報室提供・時事) 〔写真説明〕アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を終え、政府専用機で韓国・釜山を出発する高市早苗首相(右)=1日

2025年11月02日 07時02分


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