
国会は連休明けの4日に高市早苗首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まり、論戦に入る。政権が重点を置く物価高対策や防衛力強化に関し、野党は財源を含めて具体策をただす構え。自民党と日本維新の会が合意した国会議員定数削減を巡っても攻防が熱を帯びそうだ。
首相が就任後、国会で答弁するのは初めて。代表質問は6日まで衆参両院本会議場で行われる。立憲民主党の野田佳彦代表が先陣を切って登壇し、各党幹部が続く。維新の藤田文武共同代表は初めて与党の立場で質問に立つ。
首相は、日米首脳会談など一連の外交日程で国会が中断する前の10月24日に行った所信表明で、「責任ある積極財政」の方針を打ち出した。野党が主張する所得税の課税最低ライン「年収の壁」引き上げや「給付付き税額控除」に前向きな姿勢を示す。
政府・与党は総合経済対策の策定を進めるが、野党側は「現段階で即効性のある対策がない」(野田氏)と厳しく追及する方針。同時に論戦を通じ、首相からさらなる言質を引き出したい考えだ。
首相はトランプ米大統領に「防衛費増額」を約束した。財源は明確になっておらず、野党はこの点も説明を求める。
定数削減は維新が連立入りの「絶対条件」に位置付けた。自維は連立合意書に、目標を1割とし、今国会中に法案を出して成立を目指すと記した。比例代表がターゲットにされていることに野党は反発しており、野田氏は論戦で取り上げる考え。維新は「身を切る改革」を掲げてきたため、藤田氏を巡る「公金還流」報道が絡んで複雑化しそうだ。
首相は今月1日に韓国・慶州で行った内外記者会見で定数削減に関し、幅広い合意を目指して「真摯(しんし)な議論を展開していく」と述べた。
自民党派閥の裏金問題もくすぶる。野党は幕引きを認めない構え。旧安倍派に所属していた佐藤啓官房副長官(参院奈良選挙区)については、参院での職務遂行を拒否している。
代表質問後は首相と閣僚が顔をそろえる予算委員会に論戦の舞台が移る。衆院は7、10、11日、参院は12~14日にそれぞれ総括的な質疑が行われる。自維は衆参両院で過半数に届かず、衆院予算委は立民が委員長ポストを押さえている。初入閣組は10人。政権に厳しい局面が続く。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=10月29日、東京・永田町
2025年11月02日 19時27分