投手大谷の評価がポイント=投票の時事通信記者が振り返る―米大リーグMVP



ナ・リーグには15球団が所属し、それぞれの本拠地に全米野球記者協会の支部がある。MVPには、各支部から2人ずつ、計30人の記者が投票。ロサンゼルス支部の1人として投票に参加した。

今年は「投手大谷をどう評価するか」が一つのポイントだったと思う。6月中旬に2季ぶりにメジャーのマウンドに立ったが、最初は1イニングから。しばらくはリハビリを兼ねた登板という意味合いが強かった。先発投手として初めて5回を投げ、白星を挙げたのは終盤の8月27日、レッズ戦。今季の14試合で1勝1敗、防御率2.87という成績は、過去と比べれば、物足りなさを感じた投票者もいたかもしれない。

ただ、勝利への貢献度を示すデータのWARを見れば、投打の二刀流として貢献していたことが分かる。この数値は打撃だけでなく、走塁、守備も加味され、投球のデータもある選手は合計の値が出る。データサイトによって数字は異なり、「ファングラフス」の計算では、大谷はナ・リーグ1位の9.4で同2位のペルドモ(ダイヤモンドバックス)の7.1に大きく差をつけた。一方、MVP投票で次点だったシュワーバー(フィリーズ)は本塁打、打点の2冠を獲得したものの、基本的に指名打者だったことから4.9のリーグ14位にとどまった。

数字に表れない部分の大谷の貢献も目の当たりにしてきた。9月5日のオリオールズ戦では、先発予定だったグラスノーが背中の張りで当日に登板を回避。大谷も体調不良で同3日のパイレーツ戦先発を取りやめたばかりだったが、首脳陣からの打診を快諾した。

四回途中無失点。最初から5回を投げ切ることは想定しておらず、「4回でもいいので、しっかりと中継ぎの負担を減らす仕事ができれば、それはそれで大事」。自身の調整や白星よりもチームを優先した言葉は印象に残っている。

自己最多の55本塁打を放つなど、もちろん打者としても堂々の成績だった。代名詞の二刀流の復活で野球ファンを魅了した一年。3年連続4度目のMVP受賞は当然だったと感じる。(時事通信ロサンゼルス支局・峯岸弘行)。

【時事通信社】

2025年11月15日 07時09分

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