カキ大量死、外食・小売りに影=高騰で値上げ、仕入れ先模索



瀬戸内海で養殖カキの大量死が発生し、外食・小売業界が頭を悩ませている。生食のほか、フライや鍋など、さまざまな料理が楽しめる時期を迎えたが、極端な品薄で仕入れ価格が上昇。やむなく値上げに踏み切ったり、新たな仕入れ先を探したりと、苦労を重ねている。

「値上げしても経営は厳しい」。東京・新宿の和食店「広島料理

安芸」の店主、岩見政夫さん(66)は肩を落とす。仕入れ先の東京豊洲市場で、むきカキの卸値は11月の最高値が1キロ当たり6500円近くと、前年に比べて1割近く上昇した。

昨シーズンはランチタイムに1300円ほどで提供していたカキフライ定食を、今年は100円以上値上げした。それでも、「元は取れない」と岩見さん。提供数は1日5食程度に抑えた。常連の男性(58)は、値上げについて「仕方がない」と理解を示しつつ、「安い方がいい」とこぼした。

外食大手のコロワイドが定食店チェーン「大戸屋ごはん処」などで使うカキは、大半が広島県産。今年の分は確保できたが、来年以降は通常通りに仕入れられるか見通せない。広報担当者は「暗中模索だ」と、気をもんでいる。

スーパー各社も事情は同じだ。イオンリテール(千葉市)は、食材として販売するカキの店頭価格を据え置いたまま、内容量を減らす「実質値上げ」を余儀なくされた。イトーヨーカ堂(東京)の広報担当者は、今後の仕入れについて「複数の産地から調達するなどして安定供給を続けていく」と話した。

【時事通信社】 〔写真説明〕カキフライ定食を差し出す「広島料理

安芸」の岩見政夫さん=1日、東京都新宿区 〔写真説明〕「広島料理

安芸」のカキフライ=1日、東京都新宿区

2025年12月03日 07時08分


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