
与党の座を降りた公明党が、長年「友党」だった自民党との対決姿勢に転じつつある。日本維新の会と共に衆院の定数削減に取り組んだり、斉藤鉄夫代表への対抗馬擁立に動いたりすることに、連立離脱の「意趣返し」の意図まで感じ取るためだ。自公に広がる溝を見て、立憲民主党は公明との「中道連合」に期待を寄せる。与野党の選挙協力の在り方に影響を及ぼしそうだ。
「歳出減を目的とするならば、議員歳費を1割程度下げるのでもいい。なぜ定数削減なのか」。公明の西田実仁幹事長は2日の記者会見で、自維が合意した衆院定数1割減を改めて批判した。
公明は企業・団体献金規制を巡る対立などを理由に10月に連立政権を離脱。一方、地域レベルの自民との選挙協力は容認する構えも示してきた。
だが、自民が維新の要求を入れる形で定数削減の方向に進むと、空気が変わった。維新は当初、比例代表のみの削減を主張。比例に比重を置く公明にとっては死活問題となるためだ。幹部は「中途半端な対応はできない」と危機感を募らせた。
自民は11月、衆院広島3区への独自候補擁立の検討に入った。同区の現職は斉藤氏。次々と突き付けられる「野党」の現実に、西田氏は同月29日の地方組織代表者との会合で、各地での自民との関係見直しに言及した。
公明千葉県本部は「新春の集い」に自民国会議員らを招待しないと決定。他県でも同様の動きがある。東日本の地方議員は「党首をネタに脅してきた。衆院選や統一地方選で協力できない」と怒りをにじます。ベテラン議員は支持母体の創価学会もこうした方針を容認したと明かした。
高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に対し、中国との関係を支えてきた自負のある公明は厳しい目を注ぐ。防衛装備品の輸出制限撤廃論議など、自維政権の安全保障政策見直しも問題視する。
衆院の1選挙区当たり2万程度とされる公明票の行方は、次期衆院選で「比較第1党」を目指す立民にとって大きな関心事。公明からも「単独では生き残れない」(若手)として連携相手を求める声が上がる。
立民の安住淳幹事長は本庄知史政調会長に対し、週内に政策分野ごとに公明との一致点を洗い出すよう指示した。「中道路線」を共有できるとみており、「対話を重ねたい」と意欲を示す。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する公明党の西田実仁幹事長=2日午後、国会内
2025年12月03日 07時07分