伝統か刷新か、揺れる大邱=保守地盤に民主大物擁立―韓国地方選



韓国で6月3日に行われる統一地方選で、注目されているのが南東部の大邱市長選だ。保守地盤の同市で、革新系与党「共に民主党」の大物政治家の金富謙元首相と保守系最大野党「国民の力」の秋慶鎬元企画財政相が激戦を繰り広げている。伝統か刷新か。「保守の牙城」が揺れている。

◇「うるさい」とやじも

「息子や娘たちは学校を卒業すれば離れてしまい、いつの間にか全国で経済が最も下に落ちてしまった。大邱の経済を生き返らせる」。公式選挙運動が始まった21日、金氏は市場で声を上げ、有権者と握手して回った。

金氏は首都圏で国会議員に3選された後、あえて少年期を過ごした大邱市での選挙に挑戦。2016年総選挙で同市選挙区で当選して脚光を浴び、文在寅政権で3代目の首相を務めた。市場でごま油を売っていた女性(85)は金氏の政治手腕を評価。「これまでの市長は何もしていない。(金氏が)市長になって商売に良いことをしてほしい」と期待した。

それでも金氏の演説中には「うるさい」「共産主義者」とのやじが飛んだ。市場は対抗馬の秋氏の国会議員時代の選挙区内に位置。陣営関係者は「強固な保守地盤なのでこうした声はある」と話し、批判は織り込み済みといった様子だ。

各種世論調査によれば、1カ月前には金氏が10ポイント程度リードしていたが、このところ秋氏が数ポイント以内にまで迫っている。共に民主党が4月初めに金氏を候補に決定した一方、複数が名乗りを上げた国民の力は選考が長期化。秋氏が候補に決まったのは4月末で、出遅れ感もあったが、巻き返しを図っている。

◇「風吹いた」

秋氏は21日、市街地で行った出陣式で「風が吹いている。圧倒的に勝たなければならない」と支持を訴えた。国民の力関係者も、追い上げは「保守が結集している証拠だ」と自信を見せる。

演説を聞いた男性(75)は、秋氏が尹錫悦政権で企画財政相を務めたことに触れ「能力が高い」と評価。金氏について「思想面で不安がある」と語り、共に民主党への嫌悪感をあらわにした。秋氏は23日、保守の象徴的存在である朴槿恵元大統領と市場を回り、さらなる結集を図った。

ただ、尹前大統領による「非常戒厳」への対応を巡り国民の力は厳しい立場に立たされており、保守の地盤といっても例外ではない。秋氏は当時、戒厳解除を求める国会決議案の採決を妨害したとして在宅起訴されている。同市の慶北大に在学中の男性(26)は、国民の力を支持しない理由について「非常戒厳を起こした」と説明。金氏が「中道寄り」の政治姿勢を取っていることに好感を持っているとも語った。

もっとも、世論調査の結果にはばらつきがあり激戦の行方は予断を許さない。調査に応じなかったり、投票先を決めかねていたりする有権者も多いとみられている。かつて国民の力に所属していた洪準杓・前大邱市長は個人として金氏を支持すると表明しつつ、「結果は予測が難しい」との見方を示している。

【時事通信社】 〔写真説明〕街頭演説する韓国の保守系最大野党「国民の力」の秋慶鎬元企画財政相=21日、大邱市 〔写真説明〕市場で有権者と握手する韓国の革新系与党「共に民主党」の金富謙元首相(左)=21日、大邱市

2026年05月24日 19時05分


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