北朝鮮引き戻し図る=習主席、影響力を対米カードに―中朝首脳会談



【北京時事】中国の習近平国家主席の訪朝は、ロシアとの関係を深める北朝鮮を中国側に引き戻し、自身の影響力を高めるのが狙いだ。金正恩朝鮮労働党総書記との対話に意欲を示すトランプ米大統領に対し、北朝鮮への影響力を「カード」にする思惑も透けて見える。

「今回の訪問を機に、中朝関係を時代に合わせさらに発展させたい」。中国外務省の発表によると、習氏は正恩氏との首脳会談でそう訴えた。

5月にトランプ氏、ロシアのプーチン大統領と相次いで会談し、両大国との「安定した関係」をアピールした習氏。今回の訪朝の最大の目的は、北朝鮮のつなぎ留めだ。中朝関係は、朝鮮戦争を共に戦い「血で固めた友情」と呼ばれてきた。だが、北朝鮮がウクライナへの侵攻を続けるロシアと軍事協力を深めたことで関係が冷え込んだとされる。

昨年9月の正恩氏の訪中を契機に中朝関係は改善基調にあるが、ロ朝の結び付きが強まることは北朝鮮の伝統的な「後ろ盾」である中国の影響力低下につながる。北朝鮮がロシアから協力の見返りとして軍事技術などで支援を受けるのも、朝鮮半島情勢の不安定化を招きかねず好ましくない。

中国側発表には、昨年9月の中朝首脳会談に続き、今回も北朝鮮の非核化に関する記述はなかった。今年5月の米中首脳会談では朝鮮半島問題も議題となり、米国側発表では触れていたが中国側発表には非核化の文言はなかった。「正恩氏を刺激しないよう控えたのか北朝鮮の核保有を容認したのか、真意は不明」(外交関係者)だが、核保有国の地位にこだわる北朝鮮に配慮した可能性が高い。

習氏の視線の先にあるのは、米国だ。習氏は、トランプ氏と正恩氏の対話の「橋渡し役」を担うことで朝鮮半島問題で主導権を握り、非核化を今後の対米交渉の材料の一つにする意向とみられる。北朝鮮への影響力を強め、中ロ朝で日米韓に対抗する思惑もあるもようだ。

一方、習氏は8日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」への寄稿の中で、日本を念頭に「軍国主義の復活」に反対を表明した。5月の中ロ首脳会談の共同声明でも日本を名指しで非難するなど、習政権は友好国に対日批判を広めている。北朝鮮も中国の主張に同調する姿勢を見せており、中朝の関係強化は日本にとって脅威となりそうだ。

【時事通信社】

2026年06月09日 12時36分

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