香港「国歌条例案」可決＝替え歌に禁錮も、民主派押し切る

【香港時事】香港立法会（議会）で４日、中国国歌への侮辱行為に罰則を科す「国歌条例案」が賛成多数で可決された。民主派は「表現の自由の制約や恣意（しい）的な運用につながる」と反対してきたが、立法会で多数を占める親中派が、法制化を押し切った。香港メディアによると、１２日に施行される。

条例案は、中国国歌「義勇軍行進曲」の替え歌など意図的な侮辱行為を禁じ、違反者には最高禁錮３年と５万香港ドル（約７０万円）の罰金を科す内容。学校での国歌教育実施や国歌を歌うべき公的行事なども規定されている。香港では反中感情からサッカーの国際試合などでしばしば国歌へのブーイングが起こったり、起立しなかったりするケースが発生するが、そうした行為も罪に問われる可能性がある。

民主派議員は午前の審議の冒頭、中国で民主化運動が武力弾圧された「天安門事件」から４日で３１年になることを受け黙とうを提案したが、議長によって拒否された。午後には、民主派議員が議場で悪臭がする液体をまくなどして審議を妨害。一時警察が出動する騒ぎとなったが、最終的に議席数で勝る親中派が採決を強行した。

中国本土では２０１７年に「国歌法」が施行され、香港での立法化を要求していた。１９年にも香港立法会で法制化される予定だったが、反政府デモが本格化し審議が中断。デモ隊の間では「香港国歌」もつくられた。

【時事通信社】 〔写真説明〕４日、香港で、「国歌条例案」の投票を準備する立法会（議会）（ＡＦＰ時事） 〔写真説明〕４日、香港立法会の議場で悪臭のする液体を投げ、警備担当者に連行される民主派議員（中央）（ＡＦＰ時事）

2020年06月04日 19時39分

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