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五輪の意義、問い直す機会に=東京五輪〔五輪〕



東京五輪が開幕した。感染症のパンデミック(世界的大流行)下でほとんどの競技が無観客という過去に例のない大会。報道各社の世論調査では、開催について「中止・再延期」「有観客」「無観客」と意見は三つに割れたままだ。何のための、誰のための五輪なのか。大会にかかわる全ての人が開催の意義について、自身に問い直す機会にしてほしい。

五輪憲章は、大会などを通じた活動の目的について「スポーツを通じ、若者を教育することにより、平和でより良い世界の構築に貢献する」と明記。その前提として「政治的中立」や「いかなる形態の差別にも反対し、行動する」と訴えている。そして、歴代の開催国・都市は憲章の範囲内で、独自の意義を世界に発信してきた。1964年の東京大会は、開催に合わせてインフラ整備を進め「戦後復興」を世界にアピール。同一都市で3回目となった2012年のロンドン大会は、環境に配慮した「コンパクト五輪」を掲げた。

日本政府や東京都は大会の招致に成功した際、「東日本大震災からの復興」を前面に打ち出し、一部競技の被災地での実施に動いた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1年延期を主導した安倍晋三首相(当時)は「人類が新型コロナに打ち勝った証し」として、大会で対コロナ勝利宣言を目指すことを表明した。後継の菅義偉首相も同様の立場を示したが、感染収束が見通せないとなると、開催の意義や目的について言葉を濁すようになった。自身の責任回避のため、開催自体が目的化していなかったか。感染者が急増する状況下、対策の徹底による「安全、安心」を目指すのは当然として、首相が開催の意義や目的について問い直し、自らの言葉で国民に訴えない限り、大会への共感は容易に広がらないだろう。主催都市・東京都の小池百合子知事も同様だ。

また、主催団体の国際オリンピック委員会(IOC)にも、同じことが言えよう。大会が無事に終われば、バッハ会長には、パンデミック下で五輪を開催したという「実績」が残るだろうが、日本国民の「犠牲」の結果であってはならない。

五輪憲章は、大会に関する「独占的権利」をIOCに認め、大会は莫大(ばくだい)な収入をもたらす巨大なビジネスになっているとされる。収益の一部は、各競技団体の支援に充てられているにせよ、本来の目的である、スポーツを通じた「平和でより良い世界の構築」がかすんではいないだろうか。東京大会を踏まえ、IOCが大会の運営について見直すことを期待したい。

大会の「主役」は言うまでもなく、アスリート。そして、多くのボランティアが大会を支えている。「今まで生きてきた中で一番幸せ」「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」。全ての世代で多くの人が、五輪で感動を与えられた記憶があるのではないか。

出場するアスリートは、国籍、人種、性別を問わず、さまざまな困難を乗り越えて最高の舞台に立つ人たちだ。出場選手に敬意を表し、競技を温かく見守る。そして、多くのアスリートが「東京大会に出場できてよかった」と振り返る。気持ちよく競技に集中できる場を提供できれば、東京大会の「レガシー」の一つとなるのは間違いない。日本の一人一人が、レガシーづくりの一役を担う。そんな大会になることを願う。(時事通信社解説委員長・高橋正光)。

【時事通信社】

2021年07月23日 23時23分

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