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逆転困難の見方広がり一転=「狭き門」に検察誤算―特別抗告断念・袴田さん再審



袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定について、東京高検が最高裁への特別抗告を断念する方向に転じた。最高裁は書面審理が中心で、抗告理由も憲法違反や判例違反に限られる「狭き門」。土壇場になって高裁決定を覆すのは難しいとの見方に一気に傾いた。

検察側は、再審開始を認めた2014年の静岡地裁決定を東京高裁が改めて取り消すと想定していただけに、13日の決定は誤算だった。検察幹部の一人は「赤みが残ることを言えばいいという対応の甘さがあった」と明かす。20日の期限に向け、いったんは特別抗告する方向で検討が始まった。

そもそも高裁での審理の争点は、最高裁が出した「宿題」に絞られていた。「5点の衣類」の血痕に関し、袴田さんや被害者のものではないDNA型だとして弁護側が新証拠の柱に据えた鑑定結果について、最高裁は「DNAの劣化」を理由に証拠価値を認めなかった一方、みそ漬け実験による血痕の色調変化を検討するよう高裁に課した。1年以上もみそに漬かることで赤みが一様に消失することが化学的メカニズムでも明らかであれば、確定判決に合理的な疑いが生じるとの判断の枠組みも示された。

この任務を担ったのが、緻密な審理に定評のある大善文男裁判長だった。弁護側は専門家によるモデル実験を通じ「みその高い塩分濃度などによって血液成分のヘモグロビンが分解、酸化して赤みが消失する」などとする法則を積極的に展開した。対する検察側は「特定条件下の化学変化だ」と反論するにとどまった。「化学的メカニズムの解明は困難」とも言い、消極姿勢が目立った。

大善裁判長は検察側の主張を「化学的論拠に基づかない抽象的なもの」と退け、「合理的に想定できる可能な条件を網羅している」として弁護側立証に軍配を上げた。

ある法曹関係者は「単純明快な決定だ。特別抗告しても認められるのは極めて困難だったろう」とみていた。弁護団は「検察官は色調変化のメカニズムについて争わなかった。にもかかわらず不服申し立てするのか」とけん制していた。

【時事通信社】

2023年03月20日 21時11分

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