一般社団法人 日本電子機器補修協会
岸田文雄首相が前例のないウクライナ電撃訪問に踏み切ったのは、「法の支配」などを重視する先進7カ国(G7)の議長国として、目に見える形でウクライナ支援に向けた指導力をアピールすることにこだわったためだ。来月に統一地方選と衆参両院の補欠選挙が控える中、政権の実績づくりを急いだ側面もある。
核軍縮をライフワークとする首相は、5月に地元広島で開くG7首脳会議(サミット)に強い思い入れを持つ。主要テーマの一つは、ウクライナで核兵器の使用も辞さない姿勢を示したロシアへの対応だ。
ただ、昨年2月のロシアによる侵攻以降、日本以外のG7各国首脳は戦地となったウクライナを軒並み訪問。首相も昨年末などに模索したが果たせず、ゼレンスキー大統領の招待を受けながら一人後れを取った格好だった。
政府関係者は先週、首相の様子について「G7で議長だけ現地を見ていない状況への焦りはかなり深い」と明かし、インド訪問に合わせてウクライナ入りに踏み切る可能性を示唆した。首相は今回の外遊出発当日の19日、スケジュールの合間を縫うように広島で後援会の会合に出席。広島サミットで「法の支配に基づく国際秩序」の堅持を発信することに重ねて意欲を示した。
昨年来、内閣支持率は低空飛行を続ける。1月からの通常国会では、首相秘書官によるLGBT(性的少数者など)差別発言や、防衛費増額の財源確保を巡り、防戦に回る場面が目立った。
一方で今月に入り、首相は韓国の尹錫悦大統領との会談で元徴用工問題などで悪化した日韓関係の正常化を確認。各種世論調査でも好意的に受け止められつつある。外相の経験が長く、「外交の岸田」を自任する首相として、反転攻勢に手応えを感じているもようだ。
ウクライナ訪問は、モスクワを訪れた中国の習近平国家主席とプーチン大統領の会談と時期が重なり、好対照を内外に示すことにもつながった。
ポーランドを回って帰国する23日には統一地方選がスタート。4月に入れば補欠選挙も実施される。今夏以降の衆院解散・総選挙も視野に入りつつある。広島サミットが近づく中、ある政府関係者は電撃訪問について「政権に追い風を吹かし得る数少ないチャンスだった」との見方を示した。
「タイミングを見て、という気持ちが(首相には)あったのだろう。良いタイミングで訪問した」。自民党の森山裕選対委員長は21日、福島市内で記者団の取材にこう語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕先進7カ国(G7)首脳のテレビ会議で協議する岸田文雄首相。画面内はウクライナのゼレンスキー大統領=2月24日夜、首相公邸(内閣広報室提供)
2023年03月21日 19時36分
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