【パリ時事】フランスのバルニエ新首相は任命から一夜明けた6日、主要政党幹部らと相次ぎ会談し、組閣に向けた作業を本格化させた。所属政党の中道右派・共和党と、マクロン大統領を支える中道連合からの支持は固いが、少数与党体制で難しいかじ取りを迫られるのは必至。下院での不信任を回避できるかは、極右・国民連合(RN)の対応がカギを握りそうだ。
7月に決選投票が行われた総選挙で下院(定数577)の過半数を制した陣営はなく、左派連合が193議席で最大勢力となった。中道は166議席、極右はRNを中心に142議席を獲得。共和党は47議席で、中道とタッグを組んでも過半数に遠く及ばない。
バルニエ氏は5日の就任演説で「全ての政治勢力を尊重し、話を聞かねばならない」と強調。欧州連合(EU)高官時代に培った不偏不党の姿勢で、各党との対話を重視する考えを明確にした。
ただ、左派は独自に擁立した首相候補をマクロン氏に拒否された。バルニエ内閣が発足すれば、直ちに不信任案を提出する構えだ。左派だけの賛成にとどまれば否決される公算が大きいが、極右が加勢すれば可決の可能性は一気に高まる。
RNを統率するルペン前党首は5日、「所信表明演説を見守る」と述べ、新内閣の陣容や施政方針を確認した上で対応を決める意向を表明。移民対策強化や治安改善など、RNの主張を反映した施策を講じるようバルニエ氏に圧力をかけた。新内閣の命運は既に「極右の手の中にある」という見方も出ている。
【時事通信社】
〔写真説明〕5日、パリで演説するフランスのバルニエ新首相(EPA時事)
2024年09月07日 07時09分