FRB、連続利下げも=労働市場の鈍化鮮明に―米



【ワシントン時事】6日発表された8月の米雇用統計では、就業者数の伸びの鈍化傾向が浮き彫りとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)は17、18日に開く次回の連邦公開市場委員会(FOMC)以降、健全な雇用情勢維持を目指し、連続的な利下げに乗り出すとの観測が強まっている。

雇用統計で景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比14万2000人増と、市場予想を下回った。6月と7月の就業者数も下方修正され、過去3カ月では平均で月11万6000人増と、今年1~3月期の同26万7000人増から大きく鈍化した。

ウォラーFRB理事は6日の講演で、「労働市場は明らかに減速した」と指摘。次回FOMCで政策金利を引き下げる「時が来た」とした上で、「連続利下げが妥当となる可能性がある」と述べた。市場では、FRBが「5会合連続で0.25%の利下げを行う」(米金融大手)との見方もあり、本格的な金融緩和局面入りが見込まれている。

歴史的な高インフレが落ち着く中、FRBは政策運営の軸足を雇用の最大化に移している。FRBが4日公表した全米12地区の景況報告では、9地区で経済活動の「横ばいもしくは落ち込み」が示され、好調だった景気に陰りも見える。

雇用は現時点で一定の伸びを保っており、ウォラー氏は「近く景気後退に陥るわけではない」と強調。一方、「利下げの規模やペースに関しては経済指標に基づき柔軟に決める」と、通常の2倍となる0.5%の大幅利下げの可能性に含みを持たせた。鈍化する労働市場を「悪化に転じないようにすること」(高官)が、FRBの直面する非常に重要な課題に浮上している。

【時事通信社】

2024年09月09日 15時00分

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