【北京、台北時事】中国軍で対台湾作戦を担う東部戦区は14日、台湾を取り囲む形で大規模な統合演習を行った。同様の軍事演習は今年5月以来で、東部戦区は「『台湾独立』の分裂勢力がたくらむ独立行動への強力な警告だ」と主張。台湾の頼清徳総統が、10日の演説で改めて中国による統一に反対したことをけん制する狙いがあり、台湾側は強く反発した。
東部戦区は14日早朝に演習開始を発表。同日夜に終了したと明らかにした。演習名は「連合利剣―2024B」で、台湾海峡と台湾本島の北部、南部、東部の周辺で実施。陸、海、空、ロケット各軍が参加し「統合的な実戦能力を検証した」という。北部と南部では重要港湾を封鎖する訓練も行った。中国海警局も14日、台湾本島を取り囲む形で巡視活動に当たった。
演習には空母「遼寧」も参加。東部戦区は「国家の主権と統一を守るための正当で必要な行動」と強調し、薄暗い中、空母から戦闘機が飛び立つ様子などを収めた映像を公開した。中国外務省の毛寧副報道局長は同日の記者会見で、「台湾独立勢力の挑発は必ず反撃に遭う」と語った。
台湾国防部(国防省)は声明で「不合理な挑発行為に強烈な非難を表明する」と批判。頼氏は「国家の安全を守る自信と能力がある」と述べた。国防部によると、同日午後4時半(日本時間同5時半)までに、台湾周辺で中国軍機延べ125機が活動。1日当たりでは過去最多という。中国軍の艦船は延べ17隻、海警局などの公船も延べ17隻が確認された。
中国軍は5月、頼氏の総統就任演説に反発して今回と同様の大規模演習「連合利剣―2024A」を実施し、その後の台湾側の対応次第で再び「B」の演習を行う構えを見せていた。今回は2日間だった5月の演習よりも期間は短いものの、台湾本島に近い場所に演習区域を設定しており、威圧を強めた形だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕中国軍が赤色の線で示した台湾周辺の演習区域=14日、東部戦区の「微信(ウィーチャット)」公式アカウントより
2024年10月15日 12時42分