花鳥画の名手と言われた日本画家で文化勲章受章者の上村淳之(うえむら・あつし、本名淳=あつし)さんが1日午後8時38分、老衰のため奈良市の自宅で死去した。91歳だった。葬儀は近親者で済ませた。喪主は次男隆司(たかし)さん。
1933年、日本画家の上村松篁の長男として京都市で生まれた。祖母は美人画で有名な上村松園。57年、京都市立美術大(現京都市立芸術大)日本画科卒。学生時代から奈良市郊外で鳥と共に暮らし、観察対象の心情を捉え、空間としての余白の役割を重視する独自の画風を築いていった。
シギの人工ふ化に成功するなど、鳥類の専門家からも注目された。飼育する鳥は二百数十種、千数百羽にもなり、自宅は日本鳥類保護連盟から研究所の指定を受けた。
2010年に完成した平城宮跡(奈良市)の大極殿復元プロジェクトに参加し、殿内の壁画を手掛けた。京都市立芸大副学長、京都市学校歴史博物館長を歴任。13年に文化功労者に選ばれ、20年に旭日中綬章を受章。22年には松園、松篁に続く親子3代での文化勲章受章となった。
【時事通信社】
〔写真説明〕上村淳之さん
2024年11月04日 08時40分