偽の格安通販サイトで購入した商品について、スマホ決済アプリ「PayPay(ペイペイ)」で返金すると偽り、電子マネーをだまし取る詐欺の手口が急増している。被害は全国に広がっているとみられ、警視庁は「『○○Pay』など電子マネーのみでの返金は極めて不審。詐欺を疑って」と注意を呼び掛けている。
国民生活センターによると、最初に被害を把握したのは2023年3月。以降、今年7月末までに寄せられた相談件数は全国で4168件に上る。
警視庁捜査2課によると、都内の40代女性は5月、格安通販サイトで、アイドルとの「ハイタッチ券」を1万5000円で購入した。代金を振り込むと、しばらくして業者を名乗る人物から商品欠品を知らせるメールが届いた。
返金を求めたところ、業者側は「ペイペイのみ対応」と説明した。さらに返金手続きを進めるとして、電話などでペイペイの画面に「認証コードとして69985と入力してください」と要求。さらに「認証がうまくいかない」と言って、「79998」と打ち込むよう求めた。
ただ、打ち込まされたのは送金額を入力する欄で、女性は6万9985円と7万9998円を送金させられていた。女性はこれに気付かず、3回にわたり計約25万円を送金してしまった。
女性はさらに、言われるがままネットバンキングに移行。「返金コード」として教えられた数字を入力し、計約980万円を詐取された。ペイペイは送金額に上限があるため、高額を詐取するためネットバンキングに誘導されたとみられる。
送金手段に使われる電子決済サービスはペイペイが9割以上を占める。被害者は10~70代と幅広く、偽の格安サイトで扱われる商品も楽器やフィギュア、洋服などさまざまだ。
メールやLINEの文面には翻訳アプリを使ったとみられる不自然な日本語が並び、通話した際に片言の日本語で対応された被害者もいる。同課は海外の詐欺グループが関与している可能性もあるとみて捜査している。
【時事通信社】
〔写真説明〕通信アプリ「LINE」のやりとり。返金は電子マネーでしか受け付けないと説明している(警視庁提供)
2024年11月05日 06時55分