地域課題を解決する先進的な活動をたたえる第12回プラチナ大賞の表彰式が6日、東京都内で開かれた。持続可能な森林経営モデルに取り組む岡山県津山市と同市内の企業を大賞・総務大臣賞に選出。大賞・経済産業大臣賞は、役所のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める大分県が受賞した。
津山市は市有林の一部の経営管理を、建材メーカー「フランウッド」に委託。同社が特許を持つ植物由来の化合物を染み込ませる技術で、スギ、ヒノキの木材の耐久性を上げ、付加価値を高めて売り出す。生産段階では大型トラックが通る道に丸太をワイヤロープでつって集め、効率的に運搬する方針。コストを減らし収益を上げる。
大分県は県民の利便性を高めようと、役所の手続きのデジタル化やキャッシュレス対応を推進。条例の記述もデジタル化を前提としたものに見直した。高齢化で増加している要介護認定業務については、大分市や別府市と共同でデジタル化するモデル事業に着手。認定までの時間短縮につなげる。
これらの大賞2件は、最終審査に残った自治体や企業など12件から選ばれた。プラチナ大賞は一般社団法人プラチナ構想ネットワーク(会長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)などが主催。総務、経産両省や時事通信社などが後援している。
◇優秀賞の取り組み事例
〔香川県〕企業誘致のアクションプランを策定。1万超の企業へのアンケートでニーズを把握。電力料金を半額助成する制度などでデータセンター誘致を進め、情報通信企業をはじめ立地件数が増加。
〔ミーツ〕北海道厚真町で高齢者がLINEや電話で困りごとの解決を依頼できるマッチングサービスを提供。送迎や草刈り、雪かきなどができる住民とつなぎ、地域の共助力を高めている。
〔長野県佐久市〕女性が活躍できるまちづくりを推進。デジタルスキル習得のほか、特技や趣味、子育て経験を生かした仕事の実現に向け講座を設けている。
〔くまもとKDSグループ〕発達障害者の運転免許取得を専門人材がサポート。自動車教習所が福祉サービス事業所を立ち上げ、自立に向けた生活訓練や就労移行支援を連携して行う。
〔長野県小諸市、一般社団法人ディバースライン〕小規模な森林整備を念頭にした「自伐型林業」の推進と担い手育成に取り組む。チェーンソーの使い方を学ぶなど実践を取り入れた講座を開催。
〔岩手県、東北ライフサイエンス・インストルメンツ・クラスター〕ものづくり技術を持つ中小企業を中心に産学官金が連携して、医療機器の開発や事業化に挑戦。20を超える商品が生まれ、14カ国に輸出している商品も。
〔東京製鉄〕建物解体に由来する鉄スクラップを高品位の鋼材に変える技術を開発。ベンチャーと協力し、鉄スクラップを主原料とする電炉鋼材を使った自動車を製造した。
〔三菱ガス化学、新潟県〕汚泥の処理過程で発生する消化ガスが原料の「バイオメタノール」を全国で初めて製造。カーボンニュートラル実現につなげる。
〔教育と探求社〕社会課題を題材とした探求型の学習プログラムを全国の中学・高校で展開。カリキュラムを提供し、教員の研修を行う。生徒らの主体性を高める教育の実現を目指す。
〔農業・食品産業技術総合研究機構〕水稲栽培における水の管理技術「中干し」の期間を延ばして、メタン排出量を抑える手法を確立。従来農法を基本とする取り組みが売りで、滋賀県では水稲作付面積の4割で普及。
【時事通信社】
〔写真説明〕第12回プラチナ大賞の各賞を受賞した関係者ら=6日午後、東京都中央区
〔写真説明〕第12回プラチナ大賞で、大賞・総務大臣賞を受賞した「フランウッド、岡山県津山市」の関係者ら=6日午後、東京都中央区
〔写真説明〕第12回プラチナ大賞で、大賞・経済産業大臣賞を受賞した大分県の関係者ら。左端は岩田和親経済産業副大臣=6日午後、東京都中央区
2024年11月06日 21時29分