歳出膨張、財源の6割国債=11.7兆円増発、揺らぐ信認―補正予算



高市政権が掲げる「責任ある積極財政」の最初の試金石とされた2025年度補正予算案の歳出は大きく膨らみ、財源の6割超を国債で賄うこととなった。高市早苗首相は「経済成長を通じて税収を増やし、財政の持続可能性を実現する」と強調するが、金融市場の視線は厳しさを増している。今後、編成作業が本格化する26年度予算案でも歳出膨張圧力は強く、財政の信認は大きく揺らいでいる。

補正予算案は一般会計歳出18兆3034億円のうち、11兆6960億円を国債の追加発行で賄う。当初予算と合わせた発行額は40兆3431億円。首相は前年度の42兆1390億円よりも抑えたことを挙げ、「財政の持続可能性にも十分配慮した姿を実現することができた」と自賛した。

ただ、その要因は「(石破前政権が編成した)当初予算で前年度から約7兆円減っているから」(財務省幹部)だ。補正同士の比較では、前年度から1.7倍超に膨らんでおり、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「財政規律は極めて緩く、責任を欠く単なる積極財政だ」と指摘する。

来年度予算案の編成は今後、佳境を迎える。現政権発足前に取りまとめられた一般会計の概算要求額は122兆4454億円と、前年度の117兆6059億円を上回って過去最大。インフレ下で賃金や調達価格の上昇を反映させることを容認したため、歳出は膨らみやすくなっている。

さらに、27日の経済財政諮問会議で示された予算編成の基本方針案は、人工知能(AI)・半導体や造船など17の戦略分野に予算を重点化する方針を明記。「強い経済」を目指し、戦略的な財政出動を一段と拡大させる姿勢を示した。別のエコノミストは「恒常的な歳出増として危機管理・成長投資関連が盛り込まれれば、新規国債発行額は今年度当初予算より膨らむ可能性が高い」と財政悪化に警鐘を鳴らす。

〔写真説明〕「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の中村裕之共同代表(左から4人目)から提言書を受け取る高市早苗首相(中央)=18日午後、首相官邸

2025年11月29日 11時49分


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