
政府の総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案は、8日の衆参両院本会議で財政演説と各党質疑が行われ、審議入りする。与党は衆院で過半数に達したが、参院では少数のまま。立憲民主、国民民主、公明3党がどう対応するか、衆院議員定数削減法案を巡る攻防と相まって、高市政権の国会運営の今後を占う機会になる。
8日の本会議に続き、9、10両日には衆院予算委員会で高市早苗首相と全閣僚が出席して基本的質疑が行われる。与党は11日に衆院を通過させ、12日に参院の審議に入り、16日に成立させる段取りを描く。
予算案は憲法の衆院優越規定により、与党だけで成立させられる。とはいえ、来年1月召集の通常国会を含めて各種法案の審議を見据えると、立国公など野党の協力はなお必要だ。
補正予算案は「責任ある積極財政」を掲げる高市政権が初めて組んだ。一般会計歳出総額は18兆3034億円。財源の6割超を新規の国債発行で賄う。財政悪化に対する懸念から長期金利は一段と上昇している。
立民の野田佳彦代表は5日の記者会見で「緊要性に欠ける支出があまりに多い。規模の大きさがマーケットの警鐘につながっている」と指摘。国会で厳しくただす方針を示した。
政府・与党は公明からの賛成取り付けを狙い、同党の要求を踏まえて児童手当の1人当たり2万円上乗せを決めた。公明内には予算案への賛成論もあるが、立民と組み替え動議の提出に向けた話し合いも続けており、両にらみだ。
国民民主の榛葉賀津也幹事長は5日の会見で、所得税の課税最低ライン「年収の壁」引き上げに関する自民との協議を見極め、対応を判断する姿勢を示した。
週明けの国会は定数削減法案の行方も焦点。自民と日本維新の会は今国会成立を目指すが、野党に反対が強く、対決ムードが高まっている。
法案を扱う衆院政治改革特別委員会では審議入りのめども立っていない。野党は企業・団体献金規制法案の審議を先行させるよう主張し、譲らない構え。野党各党の国対委員長は8日に会談し、共同歩調を確認するとみられる。
定数削減法案を巡る攻防が激化すれば、補正予算案の審議に波及する可能性がある。与党は会期末が17日に迫る中、難しい国会運営を迫られる。
〔写真説明〕党首討論に臨む高市早苗首相=11月26日、国会内
〔写真説明〕記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=5日、国会内
2025年12月07日 07時03分