中国、基礎研究で日米猛追=政府が全面後押し



【北京時事】中国が基礎研究の底上げを急いでいる。日本や米国と比べて遅れていたが、近年は政府の全面的な後押しを受けて猛追。自然科学分野のノーベル賞受賞者数で、いずれ中国が日本を上回るとの見方も出ている。

広東省江門の巨大素粒子観測施設「江門ニュートリノ実験」(JUNO)で11月に開かれた完成記念式典。JUNOは式典で、試運転期間にニュートリノの質量測定に必要な観測値を絞り込むことができたと発表。中国科学院高エネルギー物理研究所の曹俊所長は取材に「さらに大きな科学的発見を目指す」と表明した。

中国国家統計局によると、同国の研究開発費は経済成長を背景に右肩上がりで増えている。中でも基礎研究費は平均を大きく上回る急速なペースで増加。共産党は2026~30年の経済運営指針で、基礎研究の投資割合を一段と高める方針を打ち出した。

JUNOの式典には欧州を中心に海外の研究者や外交官も数多く出席した。イタリア出身という男性研究者は「中国の研究環境は魅力的だ」と打ち明けた。

25年のノーベル賞は、生理学・医学賞に大阪大の坂口志文特任教授、化学賞に京都大の北川進特別教授が決まった。日本の自然科学分野のノーベル賞受賞者数は2人を加えて計27人(米国籍取得者を含む)に増える一方、中国大陸に拠点を置く中国人の受賞は1人のみにとどまる。

ある日本政府関係者は、ノーベル賞は数十年前の研究が評価されるケースが多いと指摘。日本人の受賞者数について「今後どうなるか分からない」と自嘲気味に話した。

〔写真説明〕中国広東省の巨大素粒子観測施設「江門ニュートリノ実験」(JUNO)の完成記念式典=11月19日

2025年12月07日 07時02分


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