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消えない対中不信感=北大教授釈放も学術交流に影響



北海道大の岩谷將教授(42)が9月に中国で拘束された事件は日本の中国研究者らに大きな衝撃を与えた。中国当局は15日、岩谷氏を釈放し、同氏は帰国したが、日本の学者らが受けた対中不信感は消えない。日中の学術交流になお影響を与えるとみられる。

岩谷氏は中国近現代史が専門で、主に日中戦争史を研究している。中国などで歴史資料を発掘・収集した上で分析する実証研究で高い評価を受けてきた。中国外務省報道官は、「中国国家機密資料」収集が、刑法や反スパイ法に抵触すると認定したと発表した。

日本学術界は、岩谷氏が中国社会科学院近代史研究所という権威ある学術機関から招待を受けながら、拘束されたという事実に衝撃を受けた。しかも研究会出席前に連行されたもようだ。関係者は「当局は入国を待っていた」と指摘しており、以前から岩谷氏をマークした上での計画的な拘束とみられる。

中国当局はこれまでも、外国人らを国家機密入手の容疑で拘束することがあったが、「国家機密」かどうかの解釈権は中国側が握る。かねて適用には不透明さが指摘されていた。

2015年には中国が申請した南京事件の資料が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録された。日中間には歴史認識をめぐる対立があり、宣伝戦も展開されている。現在の共産党が主張する歴史観に相反する歴史資料が「国家機密」と見なされる可能性がないとは言い切れない。

岩谷氏の専門は歴史だが、共産党人事や人権問題、ウイグル、台湾・香港など現代中国問題は「国家機密」であふれる。日本を含めた海外の学者や記者らは、中国の内部で何が起こっているかを調査・取材しており、共産党の主張と反する資料・情報の入手は拘束と背中合わせであることが改めて浮き彫りになった。

岩谷氏釈放の背景には、日中の政府間交渉のほか、日本の中国研究者ら学術界が相次ぎ声明を発表し、声を上げたことがあった。来春に予定される習近平国家主席の国賓訪日の雰囲気ではないと懸念する学者もいた。日本人学者の訪中や日中学術交流が取りやめになるなど波紋が広がる中で、中国政府は釈放せざるを得なくなったというのが実情だろう。

2019年11月15日 19時37分

international


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