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「アジア再均衡」掛け声倒れ=米軍態勢見直しも具体性欠如=オバマ大統領演説から10年



【ワシントン時事】バイデン米政権が米軍の戦力配置の指針となる「世界規模の米軍態勢見直し(GPR)」を完了した。対中国を念頭にインド太平洋地域に重心を移す方針を示したが、大規模な部隊の配置転換は見送られた。オバマ政権による「アジアへの再均衡(リバランス)」宣言から10年。トランプ、バイデン両政権に引き継がれたインド太平洋シフトは掛け声倒れという批判が絶えない。

◇10段階で5

「アジア太平洋地域の大いなる可能性に目を向ける」。2011年11月、オバマ大統領はオーストラリア連邦議会でこう演説し、台頭する中国に対抗するため、同地域で米軍の強力なプレゼンスを維持すると宣言した。

ただ、トランプ政権は17年1月の発足直後に環太平洋連携協定(TPP)から離脱し、アジアでの多国間連携に背を向けた。中国が急速な軍備近代化を進める中、アジア太平洋地域の米軍の兵力はほぼ横ばいのまま。西太平洋の軍事バランスは確実に中国優位に傾きつつある。

アメリカン・エンタープライズ政策研究所のザック・クーパー研究員は「米国はこの10年、アジア重視をうたい続けたが、政策や予算など実際の行動との間には大きな乖離(かいり)がある」と指摘。「戦略や構想は素晴らしいが、行動が伴っていない」として、リバランスの達成度を「10段階で5」と採点した。

◇「まだ政権1年目」

バイデン大統領は8月末、20年続いたアフガニスタン戦争を終結させ、中国や気候変動など「現在と未来の脅威」への対応に注力すると宣言した。米軍態勢の見直しにはこうした方針が反映され、対中国シフトが本格化すると期待されていた。

だが、ふたを開けてみれば、文書は非公開。公になったわずかな内容も米領グアムでの軍事インフラ強化や、豪州への爆撃機の巡回駐留など新味に欠けるものばかりで、中東での戦力縮小がインド太平洋にどう影響するかも説明がなかった。

「政権1年目であり、戦略レベルの大きな変化を起こす時ではない」。国防総省高官はこう釈明したが、そこかしこで失望の声が上がった。議会関係者は米誌に「決断と変化、危機感、創造性のすべてが欠けている」とこき下ろした。

◇アジア諸国は落胆

クーパー氏は米軍の態勢転換について「駐留受け入れ国と交渉せねばならず、大きく変えるのは非常に難しい」と理解を示す。一方、バイデン政権が態勢見直しの重要性を盛んに宣伝していただけに、アジア諸国には実質的な変化の乏しさに落胆が広がるだろうと予想する。

米政権は近くインド太平洋戦略も公表する見通しだ。ただ、クーパー氏は「アジア諸国が求めるのは聞き心地の良い言葉ではなく行動だ」と強調。米中のはざまで揺れる東南アジア諸国を取り込むため、早急に具体的な地域経済戦略を打ち出すと共に、インド太平洋における外交・安全保障態勢を優先的に強化していくべきだと訴えた。

〔写真説明〕米兵に語り掛けるバイデン大統領=11月22日、ノースカロライナ州フォートブラッグ(AFP時事)

2021年12月04日 14時42分


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