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巨額費用や核のごみ=豪、原潜導入で難題山積



【シドニー時事】米英とオーストラリア3カ国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の下で原子力潜水艦を導入する豪州。30年間に最大3680億豪ドル(約33兆円)と見積もられる巨額費用をどう賄うかや、核のごみの処分など難題が山積している。

3カ国が13日に合意した計画では、米英原潜の寄港や巡回駐留を経て、2030年代に豪州が米バージニア級原潜を最大5隻購入。その後、次世代型原潜を3国で共同開発し、40年代の豪軍就役を見込む。アルバニージー豪首相は「原潜は通常型よりも性能が優れる。新型建造で2万人の雇用を生む」と利点を強調している。

だが、財源の大半は見通しが立っていない。豪政府は原潜配備のため、国内総生産(GDP)の0.15%分を毎年充当する方針だが、費用全体の4分の1程度にすぎない。21年のAUKUS結成の際に破棄したフランスの通常型潜水艦配備計画用に積み立てた資金を回せるが、費用の1割弱にとどまる。

豪政府は、国防装備の他の費目を削ることを視野に入れるが、野党・自由党は「共食いは許されない」と反発。福祉予算のカットなどが浮上している。一方、新型コロナウイルス禍を受けて減税を決めたばかりのため、増税は行いにくい状況だ。国債の利払いは今後10年で5000億豪ドル(約45兆円)に上っており、借金に頼れば債務はさらに膨らむ。

また、原潜の核燃料には高濃縮ウランが使われ、退役後に出る高レベル放射性廃棄物の厳重な管理も迫られる。天然ウランと同程度の放射線レベルに戻るには12万年かかるという。豪政府は人里離れた国有地に処分場を設ける方針で、来年にも場所を選定する運びだが、地元との調整が難航する可能性もある。

市民団体「豪環境保護基金」のデーブ・スウィーニー氏は「AUKUS合意は豪州を世界最悪の放射性廃棄物の捨て場所にするリスクがある」と懸念を示す。

豪州はウラン鉱石を輸出しているが、国内に商業原発はなく、核技術のノウハウには乏しい。原潜の運航・建造・整備のための人材育成や、国際原子力機関(IAEA)との間での核拡散防止措置の確立なども課題となる。

〔写真説明〕オーストラリアのアルバニージー首相=13日、米カリフォルニア州サンディエゴ(AFP時事)

2023年03月18日 14時20分


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