【ロンドン時事】米機密情報漏えい事件の元被告で、6月に釈放された内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ氏が1日、欧州評議会(フランス・ストラスブール)の公聴会で証言した。同氏が釈放後に公の場で話すのは初めて。「私は結局、実現不可能な正義でなく自由を選んだ」と述べ、収監を解かれるため有罪判決を受け入れ、司法取引に応じるしかなかった状況を明かした。
公聴会は欧州評議会の法務・人権委員会が、アサンジ氏の訴追や収監を巡り人権侵害がなかったか調べるために開催した。同委は9月、同氏への「不相応に厳しい処遇」が、報道の自由における「危険な萎縮効果と自己検閲の風潮」を生んだとする報告書を公表している。
過去十数年間の大半を避難先の外国公館や刑務所で過ごしたアサンジ氏は「自由の身になったのは(法的・政治的な)制度が機能したからでなく、私がジャーナリズムや情報収集、情報提供に関し罪を認めたからだ」とし、報道の自由を守る仕組みの不備を指摘。「ジャーナリズムは犯罪でなく、自由な社会の柱だ。記者が仕事をして訴追されるべきでない」と静かな口調で訴えた。釈放のため闘った妻ステラさんも同席した。
〔写真説明〕1日、フランス東部ストラスブールで開かれた欧州評議会の公聴会に出席した「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ氏(右)と妻ステラさん(EPA時事)
2024年10月02日 13時30分