【ワシントン時事】バイデン米政権はイランの弾道ミサイル攻撃に対し、イスラエル軍と協力し再び迎撃した。だが、イスラエルは反撃の構えを見せており、情勢が一層緊迫する恐れもある。バイデン大統領は紛争拡大抑止を目指しているが、道筋は描けていない。
イラン側は今回の攻撃について、パレスチナのイスラム組織ハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラという親イラン勢力の指導者が、相次ぎ殺害されたことへの「報復」と位置付ける。イスラエルによる攻撃が引き金になったとの立場だ。
バイデン政権は、イスラエルを支持しつつ紛争拡大抑止に奔走してきたが、有効な手だてを見いだせていない。イスラエルがヒズボラ最高指導者のナスララ師を空爆で殺害したのは、米国やフランスなどがヒズボラとの一時停戦を提案した2日後だった。
イスラエル軍はさらに、ヒズボラの拠点が集まるレバノン南部への限定的な地上作戦にも踏み切った。危機を拡大させるイスラエルのネタニヤフ政権の動きに、米国が歯止めをかけられていないのは明らかだ。
イスラエルが地域大国イランと本格的に衝突する事態となれば、中東全域を巻き込む危機に陥りかねない。イランが4月に攻撃した時のように、イスラエルが抑制的な対応にとどめることを米側は望んでいるとみられる。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は1日の記者会見で、イランへの対抗措置について問われ「イスラエルとの協議を通じ、答えは出てくる」と指摘。慎重に検討する考えを示した。
〔写真説明〕バイデン米大統領=9月30日、ワシントン(EPA時事)
2024年10月02日 21時03分