【イスタンブール時事】在英のシリア人権監視団は30日、内戦下のシリアでアサド政権と対立する反体制派勢力が北部の要衝アレッポへ進攻し、市内の大部分を掌握したと明らかにした。政権軍は30日、「防衛線強化のための部隊再配置」を発表。政権側兵士が多数死亡し、反体制派がアレッポの広範囲に進入したことを認めた。
人口約200万人を擁する商業の中心地アレッポは、シリア第2の都市。2011年から続く内戦の勃発後、反体制派が一時支配したが、16年12月に激戦の末にアサド政権が制圧した。反体制派がアレッポを占拠すれば、8年ぶりとなる。攻防激化により、シリアの周辺国を巻き込む形で中東の混乱が一段と拡大する恐れがある。
反体制派はアレッポに隣接する北西部イドリブ県を拠点とする。イドリブ県では20年にアサド政権を支えるロシアと、反体制派を支援していたトルコが停戦で合意。ただ、最近は政権側が攻撃を強化しており、反体制派も27日に逆攻勢を開始した。今回の攻撃は停戦発効後で最大規模という。
ロイター通信によると、政権軍とロシア軍は30日にアレッポ郊外で反体制派に空爆を加えたが、劣勢とみられる。人権監視団は「アレッポはもはや政権の支配下にはない」と伝えた。一連の衝突で民間人を含む320人以上が死亡したとしている。
〔写真説明〕30日、シリア北部の要衝アレッポ中心部に進出した反体制派勢力の戦闘員ら(AFP時事)
2024年12月01日 00時24分