一般社団法人 日本電子機器補修協会

rogo

防衛費確保、一段と不透明=岸田首相「増税延期」明言、与党が圧力



岸田文雄首相が27日に始まった衆院予算委員会の質疑で、2024年度からの「防衛増税」の先送りを明言した。物価高を受けて同年度の実施を目指す所得税減税と方向性で矛盾する点などから、与党内では巨額の防衛増税について先送り論が強まっており、首相がこれを追認した格好。政府は5年間で防衛費を43兆円程度確保する方針だが、具体策は急速に不透明さを増している。

「景気、賃上げの動向などを踏まえて判断する。よって24年度から実施する環境にはない」。首相は予算委で、防衛増税の時期についてこう説明。「定額減税との同時実施」を明確に否定した。

防衛力強化は対米公約ともなっている。政府は23~27年度に17兆円規模の追加財源を確保し、歳出改革や決算剰余金などに加え、3.5兆円分は法人税、たばこ税、所得税の増税で賄うとしている。これに対し、自民党内では国債発行(借金)に前向きな「積極財政派」を中心に増税回避を求める声が上がっていた。

こうした圧力を受け、6月に決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」は防衛増税について、25年以降も含め「柔軟に判断する」と先送りを示唆。26日に首相が所得・住民税減税を24年6月に行う方針を表明したことで、27日の予算委では与党から「分かりづらい。当然、来年は防衛増税はやらないと受け止める」(自民・萩生田光一政調会長)、「防衛増税と矛盾するとの意見もある。どう答えるのか」(公明・高木陽介政調会長)と包囲網が敷かれ、首相の背中を押した。

首相が景気や賃上げ状況を先送りの理由に挙げたことで、実施時期はますます見えづらくなった。自民の積極財政派は勢いづき、その一人である世耕弘成参院幹事長は27日の記者会見で「もし万一増税する必要がある場合は、近いところで決定すればいい」と強調した。25年は東京都議選、参院選が予定されており、「負担増」につながる判断は避けたいとの心理が働きそうだ。

仮に防衛財源に当て込む決算剰余金などが見込みを下回れば、「国債を増発して賄うしかない」(防衛省幹部)とみられている。年末に向けては少子化対策の財源確保策の検討も控えるが、首相は国会審議で明言を避け続けている。防衛相経験者は政権の姿勢について「全く賛成できない」と語った。

〔写真説明〕衆院予算委員会で答弁する岸田文雄首相=27日午後、国会内 〔写真説明〕衆院予算委員会で質問する自民党の萩生田光一政調会長=27日午前、国会内 〔写真説明〕衆院予算委員会で質問する公明党の高木陽介政調会長=27日午前、国会内

2023年10月27日 19時47分


関連記事

「連座制」与野党の溝鮮明に=政活費、

トランプ氏対策、表裏両面=麻生氏面会

岸田首相、補選は自身への評価=規正法

規正法改正、連休明けに与党案=議員に

744市町村、消滅の可能性=全国の4

札幌延伸30年度末断念=北海道新幹線

自民、規正法「小手先」見直し=政活費

3補選、立民代表も天王山=優勢報道も

確認せず不記載「公民権停止」=規正法

安倍派・塩谷氏が自民離党=裏金事件、

自民・宮沢衆院議員が辞職願=「一身上

基金見直しで15事業廃止=5400億

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース