新興・途上国と連携深化へ=岸田首相、1日仏・南米出発―企業40社同行、中国にらみ



岸田文雄首相は1日、大型連休に合わせた6日間の外遊に出発する。フランスで開かれる経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で基調演説。ブラジルとパラグアイを訪れ、両国首脳と会談する。中国が覇権主義的な動きを強める中、首相は一連の日程を通じて「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との連携を深化させたい考えだ。

日本は今年、OECD加盟から60年を迎え、閣僚理事会で議長国を務める。日本の首相による同理事会での演説は2014年の安倍晋三氏以来。国際会議ではなく2国間外交として南米を訪問するのも10年ぶりとなる。

OECDは38の加盟国のうち28カ国を欧米諸国が占めるが、加盟ゼロだった東南アジアから現在、インドネシアが審査手続きに入り、タイも希望を表明している。

首相は先進国と新興・途上国のつなぎ役を担いたい考えで、2日の演説では加盟の動きを支持し、「自由で公正な経済秩序」の発展を呼び掛ける。政府関係者はグローバルサウスの経済成長を踏まえ、「世界の実情に合わせて(OECDは)変わっていかないといけない」と指摘する。

ブラジルは新興5カ国を中心とする「BRICS」の一員として中国やロシアと緊密な関係を持ち、中国が最大の貿易相手国だ。ルラ大統領は中東情勢を巡りイスラエル非難を続けるなど、独自外交を展開する。外務省幹部は「どこまで関係構築できるか。大事な訪問だ」と語る。

貿易・投資の促進に向け、首相には約40社の日本企業関係者も同行。ブラジルが注力する食料安全保障や気候変動対策を取り上げ、脱炭素分野を中心に経済・技術協力を打ち出す。

ブラジルは、今年は20カ国・地域(G20)、来年は国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の議長国と大役が続く。首相は国際社会での連携を見据え、3日に予定する首脳会談で「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」構築に向けて認識をすり合わせたい考えだ。

日本の首相のパラグアイ訪問は18年の安倍氏以来で2人目。同国は台湾との国交を南米で唯一維持しており、首相はペニャ大統領と3日に会談し、法の支配や民主主義の重要性を確認する。農業や宇宙、通信など多分野での協力を推進する。

〔写真説明〕首相官邸に入る岸田文雄首相=30日午前、首相官邸

2024年05月01日 11時58分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース