「新たな文化、築きたかった」=ネイリスト草分け金子さん―現代の名工



ネイリストの草分け的存在で、日本ネイリスト協会副理事長の金子実由喜さん(68)=東京都=も「現代の名工」に選ばれた。ネイルの道を志したのは約40年前で、「日本に一つの文化を築きたかった」と振り返る。

大正生まれの母から、「これからの時代は女性も手に職を付け、自立しなさい」と言われ育った。おしゃれだった母の爪は、いつも藤色に塗られていた。高校卒業後は美容学校に進み、美容師の資格を取得した。

銀座の老舗美容室で働く中で、「誰もしていないことをやりたい」と考えるようになった。ネイリストという言葉もない時代。「職業として確立するため、専門的に習いたかった」といい、27歳から渡米を繰り返して技術と知識を身に付けた。美容室や着物の展示会の一角でネイルを施すうちに、テレビや雑誌で取り上げられるようになった。

1990年代に入ると日常的にネイルを愛好する女性が増え、近年は男性にも広がりを見せている。ネイルの魅力を「社会の多様化にも通じる。人を美しくすることは、爪だけでなく心を豊かにする」と力を込める。

ネイリストとして2人目の現代の名工選出に、「日本独自の細やかで情緒豊かな文化に育った」と笑顔を見せる。現在はキャリエールネイルスクールの学院長として後進教育に注力。「技術だけでなく人の心が分かるプロフェッショナルを育て、ネイリストの社会的地位を高めたい」と前を向いた。

〔写真説明〕「現代の名工」に選ばれたネイリストの金子実由喜さん=10月31日、東京都千代田区 〔写真説明〕「現代の名工」に選ばれたネイリストの金子実由喜さん=10月31日、東京都千代田区

2025年11月08日 07時06分


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