胎児への過失致傷、立件断念=「母体一部」検察判断―愛知妊婦交通死



愛知県一宮市で5月、妊婦が車にひかれ死亡した事故で、名古屋地検一宮支部が、重い障害を負って生まれた赤ちゃんも被害者と見なすことは現行法上困難と判断し、運転手の女の被告(50)について、自動車運転処罰法違反の過失運転致傷罪での立件を断念したことが28日、関係者への取材で分かった。

胎児は刑法上、堕胎罪を除いて「母体の一部」とされ、出生時に「人」になると解される。検察側は、事故と障害の因果関係を補充捜査した上で、過去の最高裁決定も踏まえ、おなかの中にいたときの加害行為を罪に問えるか検討していた。

事故は5月21日に起きた。妊娠中の研谷沙也香さん=当時(31)=が乗用車にひかれ、2日後に死亡。長女日七未ちゃんは緊急手術で生まれたが、低酸素性虚血性脳症による重い障害を負い、現在も人工呼吸器が欠かせない状態が続いている。

胎児への加害行為については、出生後に病状が悪化し亡くなった水俣病事件で、最高裁決定が1988年、「胎児が出生し人となった後、母体の一部として発生した病変で死亡した場合は業務上過失致死罪が成立する」と判断した例がある。

検察側はこれまでの法解釈や最高裁決定を踏まえて検討した結果、日七未ちゃんを「独立した被害者」として刑事責任を問うのは困難との結論に達した。一方で、起訴内容に日七未ちゃんが母体の一部として負った障害についても明記する訴因変更を裁判所に申し立てたという。

被告は研谷さんに対する過失運転致死罪のみで起訴されており、被害者家族が署名を募り、日七未ちゃんへの罪も問うよう検察側に求めていた。

2025年11月28日 20時31分

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