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「語り継ぐ」、決意新た=進む高齢化、コロナで打撃も―北方領土元島民の河田さん



戦後75年を控え、解決の道筋が見えない北方領土問題。返還を求める元島民らは自らの体験を次世代へ伝える活動に力を入れるが、今年は新型コロナウイルスの影響で啓発機会も大幅に減った。語り部の高齢化も進む中、歯舞群島多楽島出身の河田隆志さん(83)は「後世に語り継ぐ意義は年々大きくなっている」と訴える。

終戦直前、日本に宣戦布告したソ連の軍隊は、1945年8月18日に千島列島に侵攻。戦力で日本軍を圧倒した。

河田さんは同年9月4日、ソ連兵約30人が多楽島に来た日をよく覚えている。終戦当時、島内の日本人は約1400人。河田さんは8歳だったが「上陸するソ連兵に戦う様子が見られず、あまり怖さはなかった」と語る。

ソ連兵は島内の学校や日本軍の兵舎を相次ぎ占拠。家に押し入り、腕時計などを奪った。一方、戦闘服の洗濯や傷の手当てを頼みに河田さん宅を訪れる兵士も。言葉が通じず、身ぶり手ぶりの意思疎通だったが、コンペイトーや乾パンをもらったこともあったという。

こうした歴史や体験を次世代に伝える機会は年々、減少している。北海道によると、かつて約1万7000人いた元島民は約5700人まで減少。平均年齢も85歳と高齢化が進む。

さらに今年は新型コロナも追い打ちをかける。北方領土に近い根室市など1市4町は啓発のため、道内外の修学旅行誘致に力を入れるが、訪問予定だった19中学・高校のうち15校がキャンセル。「さらに学校数が減る可能性もある」と市担当者は肩を落とす。

約5年前から語り部活動を続ける河田さんは、ソ連兵との交流など、自身の経験を学生ら若い世代に伝えることの重要性を感じている。「75年たった今でも、北方四島は日本領であることを忘れないでほしい」。領土返還の願いを胸に今後も、元島民の思いを伝えていく。

〔写真説明〕北方四島の歯舞群島多楽島出身の河田隆志さん=7月18日、北海道根室市

2020年08月12日 05時48分


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