
11月26日に閉幕した聴覚障害者の国際総合スポーツ大会、デフリンピック東京大会で日本のメダル総数は史上最多の51個に上った。東京都が中心となって選手発掘を行った4競技(レスリング、テコンドー、ハンドボール、射撃)も健闘。レスリングとテコンドーで一つずつ銅メダルを獲得し、都の担当者は「よくぞやってくれた」と喜びを口にした。
これまで4競技はデフリンピックに選手を派遣していなかったが、日本開催を機に全競技に選手を送り込むことになり、都が昨年6月にトライアウトを実施。43人が参加して運動能力テストなどが行われ、10人が代表となった。
都は各競技の統括団体に年間最高250万円の強化費を補助。選手は充実した環境で練習に励んだ。テコンドー女子プムセで銅メダルの星野萌(筑波技術大)は、健聴者の代表合宿に数回参加。加えて月2回、代表コーチのマンツーマン指導を受けた。「トライアウトで選ばれたので、メダルを取れると思っていなかった」と笑った。
2008年北京五輪銀メダルの湯元健一さんが合宿で指導したレスリングでは、男子グレコローマンスタイル130キロ級で曽我部健(日亜化学工業)が初のメダリストに。未経験者が多かったハンドボールは7位決定戦で歴史的な大会初勝利を挙げた。
全日本テコンドー協会で強化に関わる森顕さんは大会を振り返り、「手話ありきの世界だと痛感したし、メダリストも出したので、デフ担当をつくらないといけない」と述べた。初の自国開催を経て、先を見据える関係者もいる。
【時事通信社】
〔写真説明〕テコンドー女子プムセで銅メダルを獲得し、撮影に応じる星野萌=11月22日、東京・中野区立総合体育館
〔写真説明〕レスリング男子グレコローマンスタイル130キロ級3位決定戦で勝利し、喜ぶ曽我部健=11月22日、東京・府中市立総合体育館
2025年12月02日 07時08分