ファイティング原田さん、大一番に感嘆=思い起こす東京ドームのタイソン戦―怪物が立つ夢舞台



プロボクシングのレジェンドも、東京ドームでの大一番に感嘆の声を上げる。日本が高度経済成長に沸いた1960年代にファイティング原田のリング名でヒーローとなった原田政彦さん(81)。井上尚弥(大橋)の今回の興行について「普通は東京ドームでできない。(実現には)いい戦いで人々の心をつかむ必要があるから」と話す。

統括団体も階級も少なかった時代。原田さんは圧倒的な手数を武器に、「狂った風車」と恐れられた。65年5月に世界バンタム級で無敗王者のエデル・ジョフレ(ブラジル)を破り、フライ級に続く日本選手初の2階級制覇を達成。「世界王者自体が希少で、勝てば世界に評価された」と当時を振り返る。

後輩王者からは敬意を感じた。東京ドームで戦うため88年に来日したマイク・タイソン(米国)とホテルで面会。「年齢は全然違うけど、僕を知っていた」と回顧する。会場の熱気には身震いした。「すごい。強かった」と思い起こす。

国民的スターとなり、66年5月の防衛戦のテレビ視聴率は関東地区で歴代5位の63.7%(ビデオリサーチ調べ)に達した。「僕らの頃は各階級で世界王者は1人だけ」で、当時は世界王座奪取が難しい半面、王者としての認知度は高かった。「懸命に結果を出せば、ファンや周りが後押ししてくれる」ボクシング界の空気は、昔も今も変わらないと信じる。

世界に誇れる後進の台頭を常に願っている。「僕の時も『原田に勝つ』という気持ちで、世界から相手が集まってきた。若い人が続けば、ボクシング界は明るくなる」。世界に地位を確立した井上尚が5月6日に大舞台で視線を集める姿に、自身を重ね合わせるかもしれない。

【時事通信社】 〔写真説明〕プロボクシングで日本初の世界2階級制覇を達成するなど、「ファイティング原田」のリング名で活躍した原田政彦さん。自身のジムのリング上でファイティングポーズ=12日、横浜市のファイティング原田ジム 〔写真説明〕判定でエデル・ジョフレを破って2度目の防衛を達成し、セコンドから担ぎ上げられるチャンピオンのファイティング原田=1966年5月、東京・日本武道館

2024年05月02日 07時09分


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