ラグビー日本代表で30キャップを持つFB山中亮平が大きな決断を下した。トップリーグ時代も含め、12年間在籍したリーグワン1部の神戸を退団すると表明。7日に神戸市内で行われたイベントで、約1200人のファンに「応援がなければ負けていた試合もあった。感謝の気持ちでいっぱい」と別れを告げた。36歳は「残り少ないラグビー人生」と自覚し、移籍先を探す。
188センチ、96キロ。恵まれた体格とロングキックで大阪・東海大仰星高(現東海大大阪仰星高)時代から注目され、早大在学中に代表初キャップを獲得した。
しかし、神戸(当時神戸製鋼)加入後に落とし穴が待っていた。2011年にドーピング検査で陽性となり、2年間の出場停止処分に。ひげを生やすために使用した育毛剤の成分が反応。自らの不注意が原因だった。
この苦境で手を差し伸べてくれたのが、元日本代表の平尾誠二さんだった。神戸製鋼の日本選手権7連覇の主力で当時ゼネラルマネジャーだった平尾さんは、神戸製鋼の社業に専念するよう山中を説得。選手復帰への道を整えてくれた。「ラグビーを続けられているのは平尾さんのおかげ」。16年に53歳の若さで亡くなった平尾さんに感謝しながら、復帰後はラグビーに集中。19、23年と2大会連続でワールドカップ(W杯)に出場した。
1日にシーズンを終えたリーグワンでの出場は6試合だけ。世代交代が進む中、「このまま神戸で終わるのがきれいだとは思った」。しかし、現役続行への思いは強かった。移籍先では学生時代に打ち込んだSOでの出場も視野に入れる。「チャレンジして出られなかったら後悔はない。そこでやり切ったとなれる」。波瀾(はらん)万丈のラグビー人生で、最後の一花を咲かせる覚悟だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕ラグビーリーグワン神戸を退団することが決まり、ファンを集めた感謝祭であいさつする山中亮平=7日、神戸市
〔写真説明〕ラグビーリーグワンの神戸を退団することが決まり、イベントでファンと交流する山中亮平(中央)=7日、神戸市
2025年06月11日 07時06分