アフガン退避、時間との闘い=安全確保、対象者選定どこまで―自衛隊機派遣・政府



混迷を深めるアフガニスタンからの米軍撤退期限が今月末に迫り、航空自衛隊機を使った邦人らの退避も時間との闘いとなる。政府はイスラム主義組織タリバンが包囲するアフガンの首都カブールの国際空港からの移送に着手するが、防衛省幹部は「米軍が空港を管理し、安全が確保された間にどれだけの人員を移送できるのか。ロジを含め非常に厳しいオペレーションになる」と話した。

政府は22日、カブールの空港の状況を調査するため外務、防衛両省の情報収集チームを順次派遣。自衛隊に派遣命令が出たのは23日正午すぎで、その約6時間後に空自輸送機の第1陣が離陸する異例の慌ただしさだった。

政府内では当初、民間機や他国機を使う案もあったが、与党から「自国民の保護を他国に依存するのか」との指摘もあり、自衛隊派遣を検討。空港は法的要件を満たすだけの安全が確保されていると判断した。

第1陣のC2輸送機(鳥取県・美保基地所属)は拠点となるパキスタンの首都イスラマバードに24日到着。実際に邦人らを運ぶC130輸送機(愛知県・小牧基地所属)も近く拠点とカブールに展開し、邦人や大使館で働くアフガン人らを輸送する。

カブールの空港では、情報収集チームが退避者の身元確認を行い、陸自隊員が輸送機まで誘導する。日本へは民間のチャーター機で移送。アフガン人は第三国への出国か、日本滞在を希望するかを確認する。

C130の定員は約90人だが、座席以外に床を使えば倍近く搭乗させることが可能という。移送対象者は現時点では在留邦人、日本大使館や国際協力機構(JICA)のアフガン人スタッフとその家族らだが、どこまで家族になるのかという線引きもあり、難しい判断を強いられる。

そもそも退避希望者が自力で空港にたどり着けるのかという問題もある。防衛省幹部は「米軍が最終局面で撤退を延期するのかどうか。いつまでオペレーションが可能か読めない面もある」と話した。

【時事通信社】 〔写真説明〕航空自衛隊のC130輸送機(空自ホームページより)

2021年08月25日 20時23分


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