FBと元従業員、公聴会で対決=連邦議会、SNS規制に本腰



【シリコンバレー時事】インターネット交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブック(FB)が有害情報を看過したと告発された問題で、同社と告発した元従業員との連邦議会での対決が始まった。元従業員は公聴会で「安全より利益を優先した」と内部事情を証言する一方、FBは真っ向から否定。投稿管理の不備を指摘してきた議会もFBを厳しく指弾し、SNSへの規制強化に本腰を入れる構えだ。

「子どもに害を及ぼし、分裂をあおった」。5日開かれた上院小委員会の公聴会で、元従業員女性フランシス・ホーゲンさんは声高に訴えた。傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」の利用が摂食障害や自殺願望など心身への悪影響を若者に与えているとの内部調査結果を、FBが隠蔽(いんぺい)したとも暴露した。

ヘイトスピーチ(憎悪表現)など有害情報がアルゴリズム(コンピューターによる計算方法)によって優先表示される状況を経営陣が認識していたと、ホーゲンさんは指摘。しかし、広告収入を優先し改善を怠ったとして「自力では変われない」と、規制強化を求めた。

一連の問題は、ホーゲンさんから情報を得た米メディア報道が起点。9月末の小委公聴会にオンラインで出席したFB幹部は、孤独や不安など悩みを抱える若い女性から「インスタが助けになった」との声が多数あったと弁明した。

沈黙を貫いてきたザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も5日、FBで公開した声明で「改善策を講じ、友人や家族からのコンテンツ(の表示)が増えた」などと、利益優先批判に反論。有害情報の隣に広告が表示されることは企業も嫌うと指摘し、告発を「事実無根」と切り捨てた。

ただ、反論もむなしく、上院小委では与野党とも「道徳的な破綻だ」(ブルーメンソル委員長)とFBには厳しい姿勢。新型コロナウイルスのワクチンをめぐるSNS上での誤情報の拡散なども問題視される中で上がった火の手は、当分鎮まりそうにない。

【時事通信社】 〔写真説明〕フェイスブックとインスタグラムのロゴマーク=2020年10月(AFP時事)

2021年10月09日 15時08分


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