自民党は4日、総裁選の投開票を党本部で行い、高市早苗前経済安全保障担当相(64)を第29代総裁に選出した。決選投票で小泉進次郎農林水産相(44)を下し、自民初の女性総裁に就任。野党側の足並みはそろっておらず、15日にも召集される臨時国会で、石破茂首相の後継となる第104代首相に指名される見通しだ。女性首相は憲政史上初めてとなる。
少数与党の政治状況下、当面は連立政権の枠組み拡大が焦点となる。自民は衆参両院選挙で相次いで惨敗しており、党の立て直しに向けても高市氏の手腕が問われる。
高市氏の総裁選出馬は3度目。任期は石破氏の残りを引き継ぎ2027年9月末までになる。高市氏は両院議員総会などで役員人事に一任を取り付け、幹事長など要の人事を7日にも決める方向で調整に入った。幹事長には麻生派の鈴木俊一総務会長(72)の起用が取り沙汰されている。
高市氏は総会で「自民党の新しい時代を刻んだ」と強調。両院で与党が過半数を割る現状を踏まえ、「これからが大変だ。力を合わせてやらなければならない」と結束を呼び掛けた。
この後、就任の記者会見に臨み、政権の人事について「全員活躍、全世代総力結集で取り組む」と表明。派閥裏金事件の関係議員も「人事に影響はない。しっかり働いてもらう」として、登用する意向を明らかにした。総裁選を争った4候補を起用する考えも示した。
連立拡大に関しては、憲法改正や外交・安全保障、財政政策などを巡る立場の一致を重視すると強調した。
決選投票は、国会議員票295票に加え、47都道府県連に1票ずつが割り振られ、計342票で争われた。高市氏は185票を獲得し、156票の小泉氏に勝利。内訳は、国会議員票が149対145、都道府県連票が36対11で、いずれも高市氏が上回った。
総裁選には5人が出馬。1回目投票は、295人の国会議員票と、同数の295票が割り振られた党員・党友票の計590票で争われた。高市氏が183票でトップに立ち、小泉氏が164票で続いた。林芳正官房長官(64)が134票で3位に入り、小林鷹之元経済安保相(50)が59票、茂木敏充前幹事長(69)が49票だった。
いずれの候補も過半数に届かず、高市氏と小泉氏の決選投票となった。
◇自民総裁選の投票結果
【1回目の投票】
国会議員票
党員票
計
高市
早苗
64
119
183
小泉進次郎
80
84
164
林
芳正
72
62
134
小林
鷹之
44
15
59
茂木
敏充
34
15
49
【決選投票】
国会議員票
都道府県票
計
高市
早苗
149
36
185
小泉進次郎
145
11
156
※敬称略。国会議員票は1回目、決選ともに白票1
◇高市早苗氏略歴
高市
早苗氏(たかいち・さなえ)64
神戸大経営卒。党政調会長、総務相、経済安全保障担当相。衆(10)奈良2区(無派閥)。
【時事通信社】
〔写真説明〕自民党の新総裁に選出された高市早苗前経済安全保障担当相(中央)=4日午後、東京・永田町
2025年10月06日 07時14分