過去13件で事故原因に=空間識失調、報告書で言及―防災ヘリ墜落



9人が死亡する惨事となった群馬県防災ヘリ墜落事故で、運輸安全委員会が原因と認定した「空間識失調」をめぐっては、同委(前身の調査機関を含む)が1975年以降公表した13件の調査報告書で、同様に事故原因となった可能性に言及している。

運輸安全委によると、空間識失調は正常な感覚機能がある人が、飛行中の視界不良時に陥りやすい混乱状態。パイロットの視覚や平衡感覚で錯覚が起きるため、機首を下げたり、機体を傾けたりして異常姿勢となる恐れがある。

過去に公表された報告書によると、青森県大間町の沖合で青森朝日放送がチャーターした取材ヘリが2008年7月、海面に墜落し、機長と副操縦士が死亡、同乗者2人が行方不明となった事故で、ヘリが海面上を飛行中に濃霧の中に入り、副操縦士が「空間識失調に陥った可能性がある」と指摘した。

運輸安全委の前身、航空・鉄道事故調査委員会も04年12月にヘリが有明海上で墜落した事故について、機長が「空間識失調に陥ったと考えられ」と言及。夜間に降雨の中で飛行した結果、地上の目標を見失ったことが空間識失調になった要因との見方を示した。02年5月に2人が死亡した松山空港沖のヘリ墜落事故でも、機長の空間識失調の可能性に触れている。

運輸安全委の調査官は「パイロット自身が空間識失調の危険性を強く認識する必要がある」と話している。

【時事通信社】

2020年02月27日 10時09分

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