一般社団法人 日本電子機器補修協会
新型コロナウイルスの感染拡大を受け緊急事態宣言を発令したにもかかわらず、政府は東京都が主張する特定の事業者への休業要請には及び腰だ。経済への影響や、補償の問題を懸念しているためだが、「国家的な危機」(安倍晋三首相)に際して国と自治体の主導権争いが露呈した形で、スピード感を欠いた対応に批判も出ている。
改正新型インフルエンザ対策特別措置法は、対象区域の知事が「多数の者が利用する施設の使用制限を要請できる」と定めている。感染者の増加が特に深刻な東京都の小池百合子知事は6日の段階で、百貨店やホームセンター、理髪店、居酒屋など幅広い業種に宣言期間中の休業を求める予定だった。
ところが政府は緊急事態宣言を発令した7日に、具体的手続きを定めた「基本的対処方針」を改定。発令後も事業継続が求められる業者として百貨店、ホームセンター、理髪店などを列挙した。
さらに、知事による要請は「国に協議の上、外出自粛要請の効果を見極めた上で行う」との文言も追加し、都の動きに縛りを掛けた。
政府関係者は「百貨店や理髪店まで営業を止めると影響が大き過ぎる。東京都は走り過ぎだ」と指摘。ある自民党議員は、大手パチンコ店関係者から「1カ月営業を止めると億単位の売り上げが消える」と相談を受けたと打ち明けた。
休業要請に応じた経営者らが国に損失補填(ほてん)を求める可能性もあり、首相周辺は「一晩で何百万円と稼ぐ銀座の高級クラブにまで補償はできない」と漏らした。
ただ、強制力のない外出自粛要請だけでは効力は不透明だ。西村康稔経済再生担当相は9日、2週間後に外出自粛の効果が出なかった場合は「より強い措置」に踏み切る考えを表明したが、医師会関係者は記者団に「2週間のうちにまん延してしまう」と危機感を訴えた。
腰の定まらない政府の対応に、野党からは厳しい声が上がっている。立憲民主党の逢坂誠二政調会長は「政府の考えが曖昧だから、一番住民に身近な知事が混乱している」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表は「緊急事態を宣言しながら一体、何をしているのか」と断じた。
【時事通信社】
2020年04月09日 20時30分
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