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「コロナ」「中国」にらみ布石=菅首相、無難に初外遊―「たたき上げ」で信頼構築



【ジャカルタ時事】菅義偉首相は21日、就任後初外遊となるベトナム、インドネシア訪問を終えた。それぞれ首脳会談で人的往来の再開や安全保障分野の協力強化について合意。新型コロナウイルス禍の中の経済立て直しや、中国の覇権主義的な動きをにらんだ国際的な連携に向け布石を打った。本格的な外交デビューの場を無難に切り抜け、先々に手応えを感じたようだが、経済も安保も厳しい情勢が続くことに変わりはない。

「今後も自ら首脳外交を展開し、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と緊密に連携をしながら『自由で開かれたインド太平洋』を着実に実現していく」。首相は一連の外遊日程の締めくくりとしてジャカルタで行った内外記者会見でこう決意を表明した。

9月16日の就任以降、首相は各国首脳との電話会談やポンペオ米国務長官らとの面会はこなしたが、対面の首脳会談は今回が初。外交手腕は未知数と指摘されてきた。

ベトナムは南シナ海の領有権を中国と争う「最前線」の国で、日本に対する労働力の有力な供給源。インドネシアは人口や面積、経済規模がASEAN最大で、太平洋とインド洋の双方に臨む地政学上の要衝だ。

「たたき上げ」を自負する首相はインドネシアのジョコ大統領との20日の会談で、個人的な信頼関係の構築に軸足を置いた。全体会合に先立ち通訳のみ交えて約20分間協議。同行した坂井学官房副長官は記者団に「外交といえど人と人の関係だ」と述べ、議員秘書時代から豊富な政治経験を持つ首相の本領発揮に期待を示した。

首相は19日にはベトナムの日越大学でスピーチ。「トイ・イエウ・ベトナム(私はベトナムが好きです)」と慣れないベトナム語を冒頭に使い、「2階まで雪が積もる秋田の農家で育ち、高校卒業後に東京に出た。厳しい現実に直面し、2年遅れて大学に進学した」と自身の来歴を語った。

首相は周辺によると、用意された原稿は全て自分でペンを入れながらチェック。具体的に「こう直せ」などと指示を出した。

ただ、今回訪問した2カ国はいずれも大きな懸案がなく「成功」は約束されていたとも言える。ある立憲民主党幹部は「問題のない国をとにかく選んだ」と皮肉り、実績づくりを演出したとの見方を示した。一方でコロナの感染収束は見通せず、対中関係は米中の対立もあって難しいさばき方を求められる。沖縄県・尖閣諸島沖の中国公船侵入は依然として続いている。

菅内閣の支持率は日本学術会議問題もあり、各種世論調査で下落傾向にある。26日召集の臨時国会は野党の追及が必至だ。「地味な初外遊だった。支持率が上がる要素はない」。ある自民党幹部はこう漏らした。

【時事通信社】 〔写真説明〕インドネシア訪問中、ジャカルタ近郊のカリバタ英雄墓地にある日本人墓地を訪れ、墓に水を掛ける菅義偉首相(手前)。右から2人目は真理子夫人=21日午後(代表撮影・時事)

2020年10月21日 17時39分


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