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シェール増産、機運高まらず=原油高もインフレ重荷―米エネルギー業界



【ヒューストン時事】「シェール革命」で世界最大の産油国となった米国では、ロシアのウクライナ侵攻を背景にエネルギー価格の高止まりという追い風が吹く中、原油増産への機運が盛り上がりを欠いている。設備や人件費の高騰で開発が進まず、バイデン政権誕生後、脱炭素化の流れも加速したためだ。環境負荷が比較的低く、水素など新エネルギーの原料にもなる天然ガス増産に移行する動きも出ている。

半面、ガソリン高はインフレ高進の一因として、政権運営の重荷になっている。バイデン大統領は6月、原油高で多額の利益を計上する石油各社を批判し、業界側と対立する事態に発展した。野党共和党は、11月の中間選挙に向けて原油増産を掲げており、エネルギー政策も争点に浮上している。

◇資材高騰が壁

「設備、砂、トラック輸送などサプライチェーン(供給網)の制約に加え、インフレ圧力もある」。パーミアン盆地、イーグルフォードなど有数のシェールオイル・ガス生産地を抱え、大小の関連企業がひしめく米南部テキサス州。設備の稼働数こそ過去最高水準となったが、企業幹部の表情はさえない。

シェール開発は、地中のオイルを吸い上げる設備を設置し、エリアを順次広げて行われる。しかし、地元のEOGリソーシズのエズラ・ヤコブ最高経営責任者(CEO)は「この地域は小規模な企業が多く、サプライチェーンの問題解決に苦戦している」と説明する。

新型コロナウイルス禍で落ち込んだ米原油生産は急速に持ち直し、今年6月時点で日量1158万バレルと、昨年の1119万バレルからは増えた。しかし、資材価格の高騰や深刻な人手不足が増産の妨げとなり、「過去最高だった2019年には及ばない」(ヤコブ氏)という。

◇原油から天然ガスに

一方、バイデン政権の看板政策である脱炭素化に歩調を合わせるように、環境対策などを重視する「ESG投資」が近年急拡大。新興ファンドによっては、投資先企業に気候変動対策を迫り、石油大手には再生エネルギーへの転換を求めるところもある。

米国三井物産でエネルギー関連事業を取り仕切る早坂晃氏は、「少し極端な動きはあったが、ウクライナ侵攻をきっかけに、今は脱炭素とエネルギー確保のバランスを取るという流れに変わりつつある」と話す。

こうした中、エネルギー各社が原油に代わり、生産強化を狙うのが天然ガスだ。三井物産など日本の大手商社や米社が共同出資し、ルイジアナ州で進めるキャメロンLNG(液化天然ガス)プロジェクトは、今年に入って生産設備の大幅増強を決めた。早坂氏は、米国での天然ガス生産に「引き続き注力し、優良な投資先があれば、取り組んでいく」と意気込んでいる。

米エネルギー業界の今後について、ヤコブ氏は「石油生産は大きく伸びることはないが、天然ガスには強気な見通しを持っている」と指摘。ウクライナ危機やバイデン政権の気候変動対策が、業界に変化をもたらしつつあるとの見方を示した。

【時事通信社】

2022年09月24日 18時14分

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